台湾パイナップルの輸入8倍超に…生産農家を支援しつつ「プチぜいたく」

 台湾産パイナップルの人気が高まっている。日本ではフィリピン産が主流で、なじみは薄かったが、最大の輸入国だった中国の輸入停止で苦境に陥った台湾の生産農家を支援しようとの輪が日本各地に広がった。値段は高いが、筋が少なく芯まで甘いと、コロナ禍で「プチぜいたく志向」を強める消費者の支持も得ている。3月には旬を迎え、食卓に並ぶ機会が増えそうだ。

 財務省の貿易統計によると、2021年の輸入量は前年比8倍超の約1万7500トンと、比較可能な1988年以降で初めて1万トンの大台に乗った。日本のパイナップル輸入量は9割超をフィリピン産が占めてきたが、21年の台湾産のシェア(占有率)は9・8%に上り、金額ベースでは15・5%に達している。

 昨年3月、台湾産パイナップルの輸出の9割を占めていた中国が、検疫上の問題を理由に輸入を停止した。中台関係の悪化が背景にあるとみられ、日本ではSNSを中心に「台湾パイナップルを食べよう」と、生産農家支援の動きが広がった。フィリピン産に比べ、1個あたりの値段は2倍前後するが、各地のスーパーが並べ始めると、繊維がやわらかく、芯まで食べられると人気に拍車がかかり、「両方を売り場に置く店舗が一気に増えた」(卸売会社の大果大阪青果)という。

 年中流通するフィリピン産とは異なり、台湾産は3〜6月が出荷の最盛期となる。昨年から取り扱いを始めた卸売会社「ニュースタンダード」(松山市)の林全南社長は「糖度が高いと評判で、売れ行きも良かった。新たな定番品に成長しそう」と期待を込め、需要の拡大に備えて、今年も輸入の準備を進めている。

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