仙台市太白区郡山地区の北目橋付近で13日未明、付近を流れる旧笊(ざる)川が氾濫した。地区の民家や広瀬名取川漁協の事務所など少なくとも20棟が床上浸水。嵐の去った後は、住民らが助け合い、家具や日用品を運び出す姿が見られた。
北目橋の西約100メートルに住む建設業佐藤英志さん(50)の自宅は約1.5メートル床上浸水し、妻と長女と3人で自宅2階で夜を明かした。佐藤さんは「午後10時半ごろから一気に雨風が強くなった。川の水位が上がり避難も難しかった」と語る。家に入った水が渦巻き、1階の家具が倒れる音が断続的に聞こえたという。
「気付いたら、玄関の前まで水が来ていた」とパート川崎由美子さん(56)。橋の北約100メートルに住む。浸水で汚れた日用品を乾かすなどの作業に追われた。
橋のたもと付近の漁協郡山事務所も浸水。サケの採卵シーズンに向け清掃を終えたばかりだったふ化施設は、籠やトレーなどが散乱していた。13日朝から組合員らが、汚れた物品などを事務所の外に運び出した。
同漁協専務理事の宍戸宗(もと)さん(79)は「採卵しようとした矢先だったのに…。近くの畑から草や野菜も流れてきた。何とかやり直すしかない」と嘆いた。