台風19号 暴れる風雨傷痕深く 6市町で6人死亡2人不明

台風19号の通過に伴う猛烈な雨が降った影響で、宮城県内は12日夜~13日、各地で川の氾濫や土砂崩れが発生した。仙台市太白区、登米市、蔵王町、大和町で各1人、丸森町で2人が死亡した。仙台市青葉区五橋の冠水した道路では1人が心肺停止の状態で見つかった。若林区沖野の広瀬川と石巻市水沼の水沼川でそれぞれ1人が流されて行方不明になったとみられる。交通ダイヤの乱れ、道路の通行止め、床上や床下の浸水被害も相次いだ。水浸しになった商業施設では排水と後片付けに追われていた。

 県は13日午後7時、災害対策本部会議を開き、午後5時現在の被害状況などを報告した。住宅被害は一部損壊が39棟、床上浸水が88棟、床下浸水が166棟に上る。
 避難所は、16市町が開設した計98カ所に、少なくとも1081世帯の3661人が身を寄せている。避難指示は最大で10市11町1村が42万4757世帯97万8758人、避難勧告は最大で4市7町が48万3637世帯111万6384人に発令した。
 農業関連被害額は約5億900万円。仙台市や大郷町で農地が冠水するなどで約4億9100万円。栗原、石巻両市などで採卵鶏や乳牛が死ぬなど畜産関連が1800万円。
 医療機関は、国保丸森病院(丸森町)と仙南中央病院(柴田町)の1階部分が浸水した。高齢者福祉施設は13カ所で被害が確認され、丸森町のグループホーム1カ所が他の施設に利用者を移した。
 ライフライン関連では、丸森町で水道管が破損して全域で断水し、電話も通じない状況が続く。東北電力によると、県内では12日から13日にかけて23市町村の延べ約2万4800戸が一時停電した。復旧作業を進めているが角田市、丸森町、大郷町、石巻市の約2800戸は冠水などで現場に入れず、復旧に長期間を要する可能性もあるという。
 仙台市内では24カ所で崖崩れが起きた。泉区道路課によると、13日午前1時ごろ、泉中央3丁目ののり面が幅約60メートル、高さ約9メートルにわたって崩壊した。崖下のマンションにコンクリート片や大量の土砂が押し寄せ、貯水タンクや駐輪場、車などを押しつぶした。
 こののり面は、2017年1月の点検で補強などの対策が必要と判断。20年度の工事施工に向け、設計業務の委託を業者に発注したばかりだった。マンションの大家の男性(60)は「早く土砂を撤去し、崩壊した部分の補強をしてもらわないと怖い」と話した。
 15年9月の宮城豪雨で被害を受けた大和町中心部は、吉田川の氾濫により膝丈まで浸水した。役場に隣接する古川信用組合吉岡支店では、職員が水を排出する作業などに追われた。三嶋聡支店長(55)は「一刻も早い営業再開に向け、全力で復旧を進めている」と話した。

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