東日本を縦断した台風19号による被害は、読売新聞の15日午後9時現在のまとめで、死者は12都県で75人、行方不明者は16人に上った。死者の半数以上は福島県と宮城県に集中しており、東北地方で甚大な被害が出ている。16日以降も、被災地で警察や自衛隊による救助・捜索活動が続けられる。
福島県では、水が引いた住宅地から遺体が発見され、14~15日に新たに22人の死亡が判明。同県内の死者は27人となった。本宮(もとみや)市や郡山市、須賀川市など阿武隈川流域で多数の死者が出た。
宮城県では、阿武隈川流域の丸森町でこれまでに5人の死亡が確認され、県警によると同県内の死者は14人に上った。町の大部分が浸水した丸森町では15日朝、中心部の冠水は解消されたが、土砂崩れなどで道路が寸断された地区もある。
国土交通省の15日午後3時時点での集計では、河川堤防が決壊したのは、宮城県の吉田川、福島県の阿武隈川など7県の52河川73か所。川の氾濫も国管理の24河川、16都県管理の207河川で発生した。
国交省は、国管理の7河川について堤防決壊の原因究明や復旧工法などを検討する有識者委員会を発足させる方針を決定。長野県の千曲川では15日に現地調査を開始し、福島県の阿武隈川などは16日から調査を始める。
電気などのライフラインも寸断され、経済産業省によると、15日午後2時時点で、千葉(約1万5900戸)、長野(約1万1240戸)など10都県で計約3万3240戸が停電。厚生労働省によると、12都県の計12万8400戸以上で断水が続いている。
文部科学省によると、15日は福島、宮城、長野、栃木など12都県の小中高校など計283校が休校となった。19都県の計919校で校舎や体育館への浸水、窓ガラスや屋根の破損などが確認された。
交通への影響は長引く見通しだ。長野―上越妙高間で運転を見合わせている北陸新幹線は、東京―金沢間の直通運転再開まで、1~2週間かかるという。JR東日本によると、浸水した車両センターの新幹線の一部はレールから脱線した状態で見つかり、水で車両が浮き上がった可能性がある。
気象庁によると、東日本は17日頃まで晴れるが、18日以降は、新潟県や東北地方で天気が崩れるおそれがある。同庁は土砂災害や河川の増水への警戒を呼びかけている。