史上初めて全国高校総合体育大会(インターハイ)が中止

 新型コロナウイルスの感染拡大で、史上初めて全国高校総合体育大会(インターハイ)が中止となった。晴れ舞台を目指し、練習を重ねてきた運動部員らは「頭が真っ白」と肩を落とす。指導者たちからは、生徒をいたわる声が上がった。

【写真】「2020インターハイ」中止の危機を救いたい、と呼びかける全国高校体育連盟のポスター

 水泳の強豪で知られる豊川高(愛知県)では、水泳部員43人のほとんどが寮生活で夏の大舞台を目指してきた。青森県出身の3年神(じん)偉雄(いお)さん(17)は「春の大会中止は動揺したが、『インハイさえあれば大丈夫』と割り切ることができた。全国の3年生がとても悔しいはずだけど、ここで立ち止まっていても仕方ない」と打ち明けた。3年の池田りんかさん(17)は女子200メートル平泳ぎで昨年のインターハイ4位。「『ナンバーワンになって日本代表に』という目標があったから、苦しい練習を乗り越えられた。今回迎えられなかった『その一瞬』にはこれからも人生をかける価値がきっとあると信じ、努力し続けたい」と前を向いた。

 大牟田高校(福岡県)の柔道部は全国高校選手権、金鷲(きんしゅう)旗高校大会、インターハイの高校柔道3大大会の団体戦で昨年、いずれも決勝で国士舘(東京都)に敗れた。相手エースに一本負けを喫した3年の石本慎太郎主将(17)は「体の大きさや圧力の違いが一瞬でわかった」。雪辱を期し、筋力や体力をつける練習を続けてきた。

 だが、2月末に選手権、4月には金鷲旗の中止が決定。それでも、石本主将は「まだインハイがあるんだぞ」「気持ちを切り替えて」と部員に声をかけ、26日の午前中も変わらず自主トレーニングに励んでいた。中止をネットニュースで知り、「心の準備はしていたけど、頭が真っ白。悔しい」。選手同士が接触する稽古はできなくなり、3月から柔道着は着ていない。「変えられない現実を嘆くのではなく、自分の次の目標に取り組みたい」と話した。

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