史上最高の決勝戦!アルゼンチンがフランスをPK戦で下し36年ぶり3度目V 2得点メッシが伝説になった

 ◇FIFA W杯カタール大会決勝 アルゼンチン3ー3フランス(PK4―2)(2022年12月18日 ルサイル競技場)

 サッカーのFIFAワールドカップ(W杯)カタール大会決勝が18日(日本時間19日未明)に行われ、アルゼンチン代表がPK戦の末にフランス代表に勝利し、36年ぶり3度目の優勝を果たした。FWリオネル・メッシ(35=パリSG)は前半にPKによる先制点を挙げ、さらに延長後半にもゴールを挙げ2得点でチームをけん引。“最後のW杯”となる5回目の出場で悲願の初優勝を手にした。

 死闘――。アルゼンチンとフランスの決勝は、観客の心を一瞬も手放さない壮絶な試合になった。どちらも勝てば3度目の頂点。後半35分まではアルゼンチンがペースを握っていたが、そこからフランスが一気に押し返した。そして延長戦でも点を取り合い、PK戦の末に訪れた歓喜。アルゼンチンが86年メキシコ大会以来、9大会ぶりに優勝トロフィーを手にした。

 先制したのはアルゼンチンだった。ボールを持って押し込み、守っては全員が連動してボールを刈った。そして機とみるとカウンターを発動。勢いのままにフランスを飲み込んだ。前半36分、ディマリアが左サイドで仕掛けてPKを手にする。ボールをセットするのは、もちろんメッシ。助走に入ると、相手GKの動きをしっかり見極めてゴール右に蹴り込んだ。1大会6得点は78年アルゼンチン大会のケンペス氏に並び、同国の2位タイに浮上した。

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 そして会場が再び大きく沸いたのは同36分。メッシからアルバレス、マカリテルと自陣の右サイドから素早くボールをつなぎ、最後は左サイドを駆け上がったディマリアがゴールネットを揺らした。今大会初得点は貴重な追加点。ほぼ全員がワンタッチパスで、相手ゴールを陥れるまでわずか11秒ほどの速攻劇だった。

 ただ、フランスにも前回王者としての意地がある。エムバペが沈黙したまま迎えた後半35分、途中出場のコロムアニが獲得したPKをエムバペが決めて反撃ののろしをあげる。さらに1分後、劇的な同点弾が生まれた。メッシからコマンがボールを奪い、ラビオへ。エムバペにパスを送ると、これをチュラムに落とし、ふわりとしたリターンパスを倒れ込みながらの右ボレーでたたき込んだ。

 スカロニ監督は17日にドーハ近郊で行った前日会見で「分刻みでさまざまな状況に対応する必要があるが、準備はできている」と自信をみせるとともに「メッシにトロフィーを掲げてほしい。ただ、最も重要なのは決勝を楽しむことだ」と話していた。それは指揮官だけではない。アルゼンチンの選手、スタッフの全員の思いだ。延長後半3分、その強い気持ちが“神の子”メッシを後押しした。

 La・マルティネスの落としをメッシが拾い、フェルナンデスへ。さらにスペースに走っていたLa・マルティネスにスルーパスを通して右足で強烈なシュート。これは相手GKに弾かれたが、こぼれ球をメッシが右足で詰めて勝ち越した。

 しかし、決まったと思われた勝負の幕はまだおりない。ハンドで獲得したPKを同13分にエムバペが再び決め、ハットトリックで同点とした。これで今大会8点目。一時はメッシに並ばれたが、得点ランク1位に浮上した。

 メッシはPK戦1番手で冷静に決めた。2人外したフランスに対し、4人全員が決めたアルゼンチン。メッシは両手を掲げ、味方と抱き合った。メッシとっては5回目のW杯、自身に唯一足りなかったタイトル。06年ドイツ大会での初出場から26試合2312分、多くの賞賛と多くの批判にさらされた背番号10が、悲願だった優勝トロフィーを手にしてアルゼンチンの伝説となった。

 【アルゼンチンVデータ】

 <ブランク優勝>

 アルゼンチンはマラドーナを擁して優勝した86年大会以来の戴冠。36年ぶりの優勝は1938年~1982年、イタリアの44年ぶりに次ぐ、2番目のブランクVとなった。

 <初戦●からのV>

 1次リーグ初戦のサウジアラビアに1―2で敗れ黒星発進。初戦●からの優勝は10年大会のスペイン(●0―1スイス)以来、史上2度目。

 <南米VS欧州決勝>

 南米勢の優勝は02年大会ブラジル以来5大会ぶり。ここ4大会は欧州勢が優勝していた。南米VS欧州の決勝は14年大会以来、11度目。アルゼンチン勝利で8勝3敗(PK戦勝ち含む)。

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