合同会社カキ養殖生産、震災前の5割増に 水産特区で県素案

宮城県は4日、復興特区法に基づく地域協議会を県庁で開き、水産業復興特区を国に申請する際に提出する復興推進計画の素案を示した。特区の適用対象とする宮城県石巻市桃浦地区の合同会社で働くカキ養殖業者の2016年度の年間生産総額を、東日本大震災前より50%増やすなどの数値目標を掲げた。協議会に出席した県漁協は反対の姿勢を崩さなかったが、県は協議会の内容を踏まえ、申請手続きを進める構えだ。
 素案では、「桃浦かき生産者合同会社」を設立した同地区の養殖業者15人の年間生産額を、16年度に3億円に引き上げるとした。震災前は合計で年間1億9400万円だった。合同会社は、出資した養殖業者15人を雇用しているほか、流通、加工分野で40人分の雇用を創出する。
 合同会社が沿岸漁業権を取得することで漁業者個人の経済的負担を軽減し、所得の安定的な確保につなげる。県は同社に参加しない地元漁業者や周辺の漁業者の仕事、かき養殖以外の水面利用などに「支障を及ぼすおそれはない」と結論付けた。
 4日の協議会で、若生正博副知事は「復興の手段を提案するのが行政の役割。特区で復興を目指す選択をした合同会社を応援したい」と特区申請に理解を求めた。
 合同会社の大山勝幸社長は「特区を活用することで生産基盤の安定化が図られる。集落の復興につなげたい」と話した。
 県漁協はあらためて特区に反対する姿勢を示した。菊地伸悦会長は「漁場が分断されれば、支障を来す。特区の適用は見送るべきだ。復興の妨げになる」と批判した。

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