吉岡里帆「おとなまる子」が共感呼ぶ CM好感度3位

CM総合研究所が発表する7月度の銘柄別CM好感度ランキングで、ダイハツ工業(以下、ダイハツ)の新型軽乗用車「ミラ トコット」が3位にランクインした。アニメ化された人気のマンガ『ちびまる子ちゃん』を実写化したもので、吉岡里帆ふんする22歳になった「おとなまる子」が登場する。女性層を中心に共感を得て、「ミラ」シリーズのCMとして約7年ぶりにトップ3入りした。

原作では9歳(小学3年生)のまる子が、22歳(社会人1年生)になって車の免許をとったら、という架空の設定でストーリーが展開 (C)さくらプロダクション/日本アニメーションCM総合研究所調べ

ミラ トコットは、女性エントリーユーザーを中心に、誰でも安心して運転できることをめざして開発された軽乗用車で、6月25日から発売された。それにあわせて、吉岡里帆がおとなまる子を演じる新シリーズCMがスタート。原作では9歳(小学3年生)のまる子が、22歳(社会人1年生)になって車の免許をとったら、という架空の設定でストーリーが展開する。

「勘違い」編では、まる子が、愛車の「ミラ トコット」を間違えて「コロッケです」と親友のたまちゃんに紹介する (C)さくらプロダクション/日本アニメーション

第1弾の「勘違い」編では、ブランコをこぎながら待っている親友のたまちゃん(奈緒)のもとにまる子がミラ トコットで乗りつけ、「紹介します。コロッケです」と自慢げに車を見せるが、ナレーションに「それを言うなら『トコット』である」とつっこまれてしまう。ナレーションはアニメと同じくキートン山田が務めている。

CM好感要因を見ると、「出演者・キャラクター」をトップに「かわいらしい」「ユーモラス」「心がなごむ」と続く。調査モニターのコメントは「吉岡里帆さんがとてもかわいい」「雰囲気がアニメそのままだった」と、おとなまる子への好感の声が圧倒的。「トコットのネーミングがかわいい」「久しぶりに(CMを見て)実車を見てみたいと思いました」とミラ トコットに興味を引かれたというコメントも目立った。50代男性や40代主婦をはじめ幅広い層から支持を得ている。

CM総合研究所の関根心太郎代表は、CMの人気の理由をこう分析。「まず国民的に人気のある題材を実写化したのが大きいですね。小学生だったまる子が22歳になったという設定にすることで、ターゲットである、働き始めたばかりの若年女性ユーザーやその親世代を引き込むことに成功しました。そして新車種のCMだと機能を訴求したくなるところを、ネーミングの認知と感覚的な共感に徹したつくりにしたのも効いています」

「狭い道」編では、花輪クンの大きな車と、免許取り立てのまる子が運転するミラ トコットが狭い道ですれ違う (C)さくらプロダクション/日本アニメーション大人になった花輪クンにふんするのは竜星涼 (C)さくらプロダクション/日本アニメーション

7月2日からオンエアが始まった第2弾「狭い道」編では、竜星涼ふんする花輪クンが登場。花輪クンの大きな車と、免許取り立てのまる子が運転するミラ トコットが狭い道ですれ違う。「こちらのCMも、まる子の『余裕のよっちゃんだよ』の一言で運転のしやすさを表現して、感覚的な共感を得ています」(関根氏)

■おとなまる子の衣装選びに工夫

吉岡のキャスティングにあたっては、明るい雰囲気や幅広い層からの支持の高さがポイントになった。ダイハツの国内マーケティング部宣伝室車種戦略G主任の広野量子氏は、「原作の雰囲気をある程度残しつつも、こんな人が演じるんだというサプライズ感もほしかったので、吉岡さんはぴったりでした」と言う。オファーを受けた吉岡も「のんきで飾らない、だけどちょっとおっちょこちょい」など、原作のまる子との共通点を感じて、快諾した。

撮影にあたっては、衣装選びに工夫をこらしたそうだ。髪形は原作通りのボブで、衣装はまる子のキーカラーである赤と白。22歳の設定なので、つりスカートではなくサロペットにした。「原作通りの格好だと大人の女性に見えないですし、逆におしゃれに振りすぎても誰だか分かりにくい。最適なバランスを見つけるのに苦労しました」(広野氏)

CM総研の関根代表は、女性目線を大事にしたことも成功の鍵とみる。「ミラ トコットの開発にあたっては、ターゲットに近い女性社員で構成されたプロジェクトチームが企画に参加したそうです。その結果、かわいいを強調しすぎず、シンプルなデザインで、安全性も含めて自分らしく運転できるという特徴が生まれたのですが、その価値観にCMもしっかり寄り添っています。『ムリをしない自然体』が魅力である、まる子のキャラクターを吉岡さんが体現することで、おしゃれな雰囲気も含めて、女性からの共感を深く得られた事例ではないでしょうか」

「おとなまる子」はこの先もエピソードが展開していくというから、新たな人気シリーズに育っていきそうだ。

(日経エンタテインメント! 小川仁志)

『ちびまる子ちゃん』の原作者であるマンガ家のさくらももこさんは8月15日、乳がんのため、お亡くなりになりました。ご冥福をお祈りします。

■調査対象期間:2018年6月20日〜7月19日(東京キー5局)
■当月オンエアCM:全2662銘柄
■東京キー5局でオンエアされたすべてのCMを対象に、関東在住の男女モニター3000人に、好きなCM・印象に残ったCMをヒントなしに自己記述してもらい、その得票数を足し上げたもの
■同商品の複数作品にオンエア・好感反応がある場合、代表作品は最もCM好感度の高い作品
■企業・銘柄名・作品名はCM総合研究所の登録名称であり、正式名称と異なる場合がある

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