吉本興業は5日、今春大学・大学院の卒業予定者を対象に、47都道府県で現地駐在の「エリア社員」計47人を採用することを発表した。来年、創業100周年を迎える同社の新機軸の一つで、大阪市内で会見した大崎洋社長は「地方の魅力を発信する窓口になると同時に、雇用拡大の一助になれば」と話した。今後は、各都道府県に根ざした“地タレント”も配置する方針で、社員と芸人が力を合わせて地域活性化を目指していく。
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地域活性化と雇用の創出。2つの難題解決に吉本が乗り出す。
大崎社長は「サウナで就職難のニュースを見ていて思いついた。今の時代だからこそ埋もれている優秀な学生さんに機会を与え、それが地方の魅力を発信することにつながれば」と説明した。
採用者は、応募時に自ら希望した都道府県に駐在。企画や営業はもとより、イベントなどに出演するタレントのスケジュール管理や宣伝活動など地元に根ざした業務を幅広く担当し、吉本と地域の懸け橋的な役目を担うことになる。
100周年に向けて吉本が掲げるテーマの一つ「地域社会とエンターテイメント産業の共創」を体現する役割で、大崎社長は「道路や水道を整えるように“心のインフラ”を作っていく仕事だと考えている」と大きな期待を寄せている。
将来的には各県を拠点に活動する“地タレント”も駐在させる方針。社員と芸人が力を合わせて地方経済の振興に貢献していく計画だ。
採用の対象は今年3月に4年制大学・大学院を卒業予定か2008年3月~10年10月に卒業した人で、今月7日に募集を開始。3月の内定を予定し、応募時に希望した都道府県限定での勤務となる。1年以上勤務した後、試験に合格すれば正社員への登用もある。
また、同社は日本に関する情報番組を7日から中国で放送。米国企業と番組を共同制作し世界で販売するなど、海外ビジネスも強化する。