吉野家の“1人鍋専門店”、食べて分かったその実力

2013年9月26日、吉野家が“1人鍋専門店”「いちなべ家」の1号店を東京都千代田区にオープン。3年で10店舗の出店を目指しているという。
【詳細画像または表】
 同店のターゲットは20~30代の働く男女。「栄養が豊富にとれる鍋を1人でも気軽に食べてもらうのが狙い」(吉野家 未来創造研究所の高田健一部長)。
 鍋のメニューは「牛すき鍋」「豚しゃぶ鍋」「ちゃんこ鍋」「坦々餃子鍋」「きのこと鶏だんご鍋」「キムチチゲ」「豆乳鍋」の7種類と豊富。「定番からシーズン・トレンドモノまで、あっさり系からこってり系まで、幅広く選べるようにした」(高田部長)。価格は780円と830円の2種類で、ランチタイムはご飯が無料になる。
 座席はカウンター席のみ。店に入るとまず意外だったのは、洋風な空間だということ。ただテーブルをよく見るとひと席ごとにIHクッキングヒーターが設置されており、1人鍋専門店ということが分かる。
鍋セット一式でぜいたくな気分に!
 鍋を注文すると、肉や野菜などが生のまま皿に盛られて提供される。注文を受けてから提供するまでの時間は3分を目指しているという。
 1人のテーブルの上に鍋、肉や野菜がのった皿、たれといった鍋セット一式が並ぶと、ぜいたくな気分に。あとは自分好みの順番や火加減で調理していく。これが同店のうたう“MY NABE STYLE”というわけだ。
 鍋なので食べるまでに時間がかかると思っていたが、それほどでもなかった。湯が沸くまでに1分半から2分程度、しゃぶしゃぶならその後すぐに食べ始められる。
 肉や野菜を食べ進めていくと、実はうどんも添えられていることを気付く(「坦々餃子鍋」「きのこと鶏だんご鍋」は中華そば)。ランチタイムはご飯も無料だが、鍋における重要なプロセスであるシメまで考慮されている点がうれしい。
鍋の満足感は高いが、1人でゆったり過ごせるか
 800円前後はちょっと高いかなという印象を持っていたが、1人で鍋を食べるぜいたく感と具材の豊富さを考えれば、満足度は高い。
 ただ1人でゆったり過ごせるかどうかは微妙なところ。「1人の滞在時間はランチタイムで20~30分、ディナータイムで40~50分を想定。1人でゆったり鍋を楽しんでほしい」(高田部長)というが、隣との距離が近いカウンター席で1人鍋を長時間楽しめるだろうか。特にすぐ前に壁がある席はしばらく1人鍋を続けていると微妙な気持ちになりそうだ。
 意外に需要がありそうなのは「2人利用」。それぞれ別の鍋メニューを手ごろな価格で楽しめるうえ気兼ねなく長居できるので、ディナータイムに食事がてら軽く飲みたいときなどにはちょうど良さそうだ。
(文/山下奉仁=日経トレンディネット)

タイトルとURLをコピーしました