若い世代のテレビ離れが加速しているらしい。厚生労働省が22日に発表した「全国家庭調査」(09年調査)によるとテレビ・DVDを「ほとんど見ない」という18歳未満が6・6%で、前回04年の2・2%から大幅増となった。今夏、総務省が発表した「情報通信白書」でも10代、20代で全く同じ傾向が表れた。
テレビでは毎日毎日、同じような顔ぶれのお笑い芸人たちがあきもせず同じようにバカ騒ぎを繰り返している。子供のテレビ離れにはインターネットの普及や娯楽の多様化などの背景もあるそうだが、ただ面白ければいいという番組作りが大人だけでなく、子供たちでさえ辟易しているのかもしれない。
あの北朝鮮の後継指導者、金正恩氏をめぐるワイドショーなどの過熱報道ぶりも、その表れだろう。「軍事の英才」「砲術の天才」と言われ「最高領導者」「最高司令官」などの肩書もついた。北朝鮮メディアが神格化に向けて必死に持ち上げるのはともかく、日本のテレビまでが競って彼のプロフィルまで紹介する必要があるのか。
中身はともかく権力者然としたメタボ体形と、不釣り合いの幼顔は確かに絵にはなるだろう。外国留学したことで自由世界を知り、拉致問題解決に期待感も沸いているという。しかし、テレビに出てくる北朝鮮問題の専門家たちは、本当の情報がないまま拉致問題の見通しなどを語っている。それがかえって視聴者を惑わすことにもなる。
どう考えても、まだ30歳にもならない若者が何から何まで1人で決められるはずがない。しばらくは集団指導体制の中でのあやつり人形みたいなものだろう。向こう側の宣伝にのった後継者の虚像作りなど必要ない。(今村忠)