同情する脳の部位特定=対人関係の基礎解明も―放医研

 他人の責任を追及する際、やむを得ない事情に同情する場合に働く脳の部位を実験で3カ所特定したと、放射線医学総合研究所の山田真希子主任研究員らが27日付の英科学誌ネイチャー・コミュニケーションズに発表した。
 うち1カ所は、同情しやすい傾向を持つかどうかの個人差に関係しており、精神疾患や発達障害、高齢化で対人関係がうまくいかなくなるメカニズムの解明に役立つと期待される。
 山田主任研究員らは、健康な男女26人が模擬裁判の裁判員役を演じる実験をした。犯人役の顔写真を示し、殺人事件の内容と背景事情の説明文を読んだ上で、懲役年数と同情できる度合いを評定してもらった。
 背景事情を読んでいる時の脳の働きを機能的磁気共鳴画像装置(fMRI)で調べたところ、大脳の「内側前頭前皮質」と「楔前(せつぜん)部」と呼ばれる部分が、背景事情に応じて犯人役に同情する評定が高くなるほど活発に働くことが判明。さらに情状酌量しやすい人ほど、「右島皮質」が活発に働いていた。
 情状酌量して減刑する際には、これまで慈善行為を行う際に働くことが知られていた「尾状核」の活動が高まったという。 

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