仙台市内の事業者が、障害者と東日本大震災の被災者の雇用の場として、名取市内に農園付きレストランの建設計画を進めている。加工場なども併設し、最大50人程度を雇用。12月のオープンを目指す。環境や防災面にも配慮した造りにする考えで、「被災地復興のモデル事業にしたい」としている。
事業主体は、仙台市の一般社団法人「東北復興プロジェクト」。障害者が働くレストランを経営するアップルファーム(渡部哲也社長)と、食品製造・フードコンサルタントのファミリア(島田昌幸社長)の代表者らで設立、渡部社長が理事長を務める。
イオンモール名取エアリの近接地に約4000平方メートルの土地を確保。水耕栽培の農園を設置し、農家レストランやパン店、農産物の加工場や産直市場、セミナー棟などを設ける。
渡部社長は、震災前から農産物の付加価値を高めた「6次産業化」を体現する農園付きレストランの構想を温めていた。震災後の炊き出しなどの活動を通じ「被災地の雇用確保に役立ちたい」(渡部社長)との思いが強まり、名取市内への出店を決めた。
パン店では熱源にまきを使うほか、施設内の電力は太陽光や風力でカバーするなどエネルギーの自給に努める。農園があり、長期保存できるパンや加工品を扱うことから、災害時に障害者らが一時避難できるような「センター機能」も備えるという。
既に現地で働く障害者の研修機能も担うパン店を、仙台市青葉区にオープン。地元の支援学校などと連携し、現地での雇用の半数以上は障害者を予定する。残りは地元被災者らを想定している。
渡部社長は「震災で、1次産業の大切さを痛感した。雇用の場を作り、地場の農産物を生かした復興のモデル事業にしたい」と話している。