名取・閖上アカガイ規格統一へ選別機 ブランド化を促進

宮城県名取市の閖上漁港で水揚げされるアカガイのブランド化事業が本格化している。「ブランド化事業調査報告会」(市水産問題対策協議会主催)が規格統一などを進め、商標登録を目指す。東日本大震災の津波で漁港にあった約100隻の漁船や釣り船は全て流されたが、主力のアカガイ漁は昨年12月に再開。ブランド化は漁港復興の切り札として期待が高まっている。
 名取市のサッポロビール仙台工場で19日開かれた調査報告会には、県漁協閖上支所の漁業者、仲買業者、水産加工業者ら約30人が参加。漁業者の目分量と手作業で行ってきた出荷時の選別について、重さによる五つの統一規格を導入することが提案され、自動選別機の操作実演があった。
 報告会では、宮城大食産業学部の調査で、津波被災後に閖上沖で漁獲されたアカガイから重金属汚染は認められなかったことが紹介された。
 東京・築地の市場調査によると、震災後も閖上産アカガイへのニーズは依然として高いという報告があった。他県産や外国産との差別化を図るため管理基準を策定し、高品質のアカガイを供給できる体制が必要との指摘もあった。
 閖上漁港では仮設魚市場が5月に完成予定。これに合わせ自動選別機を導入する。商標登録申請も行い、新年度中の登録完了を目指す。
 県漁協閖上支所によると、震災後に調達したアカガイ船2隻のうち許可を受けた1隻が操業している。新船を発注した組合員は10人いるが、漁の本格化は新船が出そろう年明け以降になるとみられている。
 同支所は「ブランド化により閖上アカガイの価値を高めて、復興の足掛かりにしたい」と話している。

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