名取・閖上朝市、再び港で 建物整備、カナダが援助

東日本大震災で被災した宮城県名取市の名物「ゆりあげ港朝市」が、同市閖上5丁目の旧朝市会場に再建されることが14日、決まった。カナダの資金援助で常設の建物が名取市に寄贈され、朝市を運営する閖上港朝市協同組合が市から借り受け、来春以降のオープンを目指す。同市閖上地区の復興計画で非居住区域となる産業観光ゾーンに進出する初のケースとなる。
 津波で被災した旧朝市会場の市有地約5100平方メートルに建設されるのは、カナダ産木材を使った木造平屋のセンターハウス1棟と、店舗棟4棟で、延べ床面積は計1110平方メートル。
 魚介類や水産加工品、青果など36店舗が入居し、飲食ができるフードコートやイベントスペースも新たに設ける。8月末に着工し、来年3月末の完成を目指す。
 資金援助はカナダ連邦政府と同国ブリティッシュコロンビア州政府、林産業団体カナダウッド・グループ(バンクーバー市)の「東北復興プロジェクト」の一環。
 建設資金150万カナダドル(約1億2000万円)をカナダ側が拠出。市が敷地の上下水道などインフラを整備し、建物の設計・監理を輸入住宅販売セルコホーム(仙台市)が無償で行う。
 14日、旧朝市会場で行われた調印式には、佐々木一十郎名取市長、カナダウッド・グループ代表のポール・ニューマン氏、セルコホームの新本恭雄社長が出席。ブリティッシュコロンビア州のクリスティ・クラーク首相が立ち会い覚書を締結した。
 ゆりあげ港朝市は30年以上続く名物で、日曜祝日に開かれていたが、昨年3月11日の津波で常設建物が全壊。組合員4人が死亡し、残る組合員41人で、同市内陸部のショッピングセンター駐車場に会場を移し、営業を続けていた。
 朝市協同組合の桜井広行理事長は「国際支援のおかげで現地再建の願いがようやくかなう。いち早く再開させ、新たな観光地にして閖上復興をもり立てていきたい」と話している。

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