三重県の鈴鹿サーキットで31日、オートバイの鈴鹿8時間耐久ロードレース(鈴鹿8耐)の決勝が行われ、宮城県名取市在住で東日本大震災で被災した伊藤真一選手(44)のチームが優勝した。
伊藤選手は角田市出身。世界選手権に出場し、全日本ロードレース選手権シリーズで31勝を挙げるなど20年以上も活躍を続け、昨年限りで第一線から退くことを表明。現在は岩沼市で自動車販売店を経営している。
震災当日は同店の近くにいた。顧客や知人とまったく連絡が取れず、オートバイで走り回る中、親族7人が津波で命を落とした。こうした体験を通じ、被災者を励まそうとレース参戦を決意した。
鈴鹿8耐の優勝は自身4度目。「被災地の方を元気づけたい気持ちがあったので、目標を達成できた」と満足そうに語った。
震災直後から全国のライダー仲間へ声掛けし、集まった支援物資を従業員とともに運ぶボランティアを続けてきた伊藤選手。「これからも地元で復興に力を尽くしたい」と力強く話した。