名産カンパチのブランド名付けて コロナで20万匹未出荷 市、漁協など募集 高知

名無しのカンパチに名前を付けて――。新型コロナウイルス感染拡大で20万匹が行き場を失っている特産魚カンパチの消費を喚起しようと、高知県須崎市と同市の野見漁協が、市内の野見湾で養殖するカンパチのブランド名をツイッターで募集するプロジェクトを始めた。知名度向上を図り、一般消費者の直接購入につなげる狙い。「味には絶対の自信がある。名前をつけることで、一緒にカンパチの良さを考えてもらえれば」と呼び掛けている。

 野見漁協によると、野見湾産カンパチは、イワシやアジなどを餌にして育てられている。2週間に1回、真水で「淡水浴」をしており、外見につやがあり、臭みがないのが特長だ。これまでは卸業者を介して料亭や旅館に出荷していたが、新型コロナの影響で自粛・休業が相次ぎ、週5000~6000匹だった出荷量が9割減に。出荷予定だった20万匹がいけすにとどまる。育ちすぎると身が硬くなり、値が下がる。成長途中のカンパチもおり、いけすの限界も近いという。

 市と漁協は命名キャンペーンに合わせ、一般消費者が直接購入できるように、野見湾産のカンパチを市のキャラクター「しんじょう君」が店長を務める特産品販売サイト「高知かわうそ市場」に出品。サイトには「カンパチからの手紙」という体裁で、経緯などをまとめたメッセージも掲載した。

 公募期間は6月12日まで。「#20万匹の名無しのかんぱちに名前を」というハッシュタグを付けて、ツイッターに投稿する。最優秀賞がブランド名となり、カンパチ1匹が贈られる。優秀賞には半身。22日に須崎市であった記者会見で、野見漁協の代表理事組合長、西山慶さん(41)は「一生懸命育てた自慢のカンパチをなんとかしたい。ぜひ食べてもらいたい」と声を詰まらせながら語った。【松原由佳】

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