国際化へ労働時間も短縮

営業利益に占める海外比率も5割程度と、事業ではグローバル化が進む味の素。しかし、対照的に組織体系は古いままで、日本の本社のルールに世界26カ国の現地法人が合わせてきた。

例えば、本社への報告レポートは日本語で行われ、現地に日本人スタッフを本社から派遣して対応するのが常だった。

しかし、西井社長は「これまでの組織体系では、世界で戦えない」と言う。そこで、4月より東京本社をグローバルHQ(ヘッドクオーター)に位置付けて、組 織改革を実施。報告レポートは英語のフォーマットで統一したほか、投資の決済額やM&A(企業の合併・買収)部隊も各地に配置し、現地の裁量を増やした。

加えて、労働環境の改革にも着手。17年4月からは1日の労働時間の20分短縮を決め、常態化している残業労働の削減も目指す。「国籍を問わず優秀な人財を確保するためには、組織や労働環境をグローバル基準に合わせる必要がある」(西井社長)からだ。

急な変化に社内では戸惑いもあるが、世界トップ10入りに社員のマインドチェンジは必須。「トップダウンで行う」という西井社長の改革は成功するか。味の素の真価が問われる。

(「週刊ダイヤモンド」編集部 泉 秀一)