今年2月11日に公開された、お笑いコンビ「和牛」の2人が歌う愛媛県の観光PR動画「疲れたら、愛媛。」。その再生回数が公開から2カ月経たないうちに100万回を突破し、話題を集めている。
この動画は、水田信二さん演じる疲れた人に取り憑く「オツカレ神」と、川西賢志郎さん演じる毎日にちょっとお疲れ気味の女性が愛媛の観光名所を旅しながら、ムードたっぷりのデュエットソングを歌う。歌詞が字幕で流れるカラオケ風の映像に仕上がっている。
企画から作詞・作曲を手がけた赤松隆一郎氏は、愛媛県出身。今回の映像制作の背景について「観光資源が多く、自然も豊かで、ストレスオフ県ランキング1位という、過ごしやすさを持つ愛媛。魅力が多い分、その『居心地の良さ』をインパクトある形で伝えにくいところが課題として感じていました。それをキャッチーにPRしたい、そしてシンプルに『話題にしたい!』という思いが県の担当者のみなさんにありました」と話す。
愛媛県は平成27年度には「アイチじゃないよ、エヒメだよ」というキャンペーンを、昨年度は「いやされて愛媛旅」というプロモーションを展開しており、従来のコミュニケーションでは「愛媛=癒し」というイメージを強く押し出していた。
「それは事実なのですが、言葉としての新しさ、強さが足りないと思いました。まず、強い言葉を開発することから考え始め、『癒し』の手前にある人の状態は何か、愛媛を離れて東京・大阪で暮らしている自分が、最近頻繁に愛媛に帰りたいな、と思っている理由は何なのかを考えました。その結果、『癒される前に、人は疲れている』ということに思い至りました」。
そして赤松氏が書いたキャッチフレーズが、「疲れたら、愛媛。」である。その言葉をとにかく口にしてもらい、覚えてもらうための伝達手段として「歌」を選択した。「歌はデバイスが不要です。覚えてしまったら、その人の体があればいつでもその人の声で再生できます。これはとても強い。『疲れたら、愛媛。』というフレーズを口ずさみたくなるメロディーをサビにした曲を作ることで長く親しまれるコミュニケーションになると確信しました」。
和牛の水田さんは愛媛県出身で、観光大使も務めている。そして、コンビとしての面白さ、相方の川西さんとの仲の良さ、人気度はもちろんのこと、赤松氏の中では「2人の声」がキャスティングの決め手になった。「彼らの声はとても個性的で、ユニゾンで歌うとすごくいいんじゃないか思いました。実際歌っていただいたら、素晴らしかったです」。
赤松氏は楽曲の制作にあたり、普遍的でキャッチーなメロディー、世代を超えるメロディーを目指したという。「力の抜けた映像になっているので、本当に力を抜かないように、雑にならないようにかなり細かいところまで計算して作っています。こういったPRソングは、サビがすべてなのですが、この歌に関しては、これから長きにわたって日本のあちこちでカラオケで歌ってもらえる耐久性を持たせることに注力しています」。
公開後、和牛のファンの方から火がついた。また制作途中の様子をニュース番組で発信するなど、ローンチ手前からほどよくネタバレするかたちでPRしてきたことが、今回の短期間での再生回数100万回突破に繋がっていると見ている。
現在、「疲れたら、愛媛。」はカラオケの配信に向けて動いている。「全国のスナックやカラオケで、愛媛県出身の人たちがこの歌を歌ってくれて、愛媛をPRしてくれることを目指します」。
スタッフリスト
企画制作 南海放送+電通西日本支社+電通+ランニング 統括PR 徳永賢悟) CD+企画+C+音楽 赤松隆一郎 音楽制作 榎裕一 編曲 和田耕平 企画 矢野裕子 PR 白澤龍一、新川昌明 演出 江湖広二 PM 杉原史記、磯本宏史・長谷川拓也 撮影 市田幸生、西原智恭 VE 百代典由 照明 宮本文太 チーフ 森田貴文 HM 赤松美咲 ST 柚木一樹 CGディレクター ブニエ・ミカエル 振付 杉谷一隆、菊口真由美(振付稼業 air:man) オフライン+グレーディング+編集 米村知晃 録音 岩下拓磨 AE 桐本尚、横山学、吉川修史
ecd:エグゼクティブクリエイティブディレクター/cd:クリエイティブディレクター/ad:アートディレクター/企画:プランナー/c:コピーライター/d:デザイナー/演出:ディレクター/td:テクニカルディレクター/flash:flash制作/me:マークアップ・エンジニア/pgr:プログラマー/epr:エグゼクティブプロデューサー/pr:プロデューサー/pm:プロダクションマネージャー/ap:アカウントプランナー/ma:録音/st:スタイリスト/hm:ヘアメイク/crd:コーディネーター/i:イラストレーター/cas:キャスティング/ae:アカウントエグゼクティブ(営業)/na:ナレーター