アゼルバイジャンのバクーで開かれている国連教育科学文化機関(ユネスコ)の政府間委員会は4日、日本政府が提案していた「和食 日本人の伝統的な食文化」の無形文化遺産への登録を決定した。国内の無形文化遺産登録は22件目で、食文化では初めて。福島第1原発事故で日本食への風評被害が海外でも広がったが、登録決定により信頼回復が進みそうだ。
「和食」をめぐっては、京都の料理人らでつくるNPO法人「日本料理アカデミー」が東日本大震災後の平成23年6月、京都府に働きかけて「日本料理を無形文化遺産に」と提言。政府も「原発事故で揺らいだ日本の農水産物の信頼回復につながる」などとして昨年3月、有識者による検討会を経てユネスコに登録を提案していた。
提案書では、和食を「自然を尊重する日本人の精神を体現した食に関する社会的慣習」と位置づけた上、(1)正月や田植えなど年中行事との密接な関わり(2)四季や地理的多様性による新鮮な山海の幸(3)自然をあらわした美しい盛り付け-などを特色に挙げていた。
今回の決定を受け、文化庁では学校給食や地域行事で郷土料理を提供したり、親子教室などで食育活動を推進したりして、継承に努める方針だ。
食に関係する無形文化遺産としては、フランスの美食術、スペインやイタリアなどの地中海料理、メキシコの伝統料理、トルコのケシケキ(麦がゆ)の伝統がすでに登録されている。