営業車の危険運転 メールで上司に即通知

営業車がスピード超過や急ブレーキをした際に、上司に自動的にメールで報告するシステムを導入する企業などが、東北で増えている。安全運転の促進だけでなく、環境面や経済面のメリットも背景にある。恨み節が上がるどころか、社員の評判も上々だという。

みやぎ生協(仙台市)は2012年10月、主に市内の配送を担当する仙台東センター(仙台市宮城野区)のトラック70台に導入。翌13年には仙台南センター(宮城県名取市)にも広げ、計140台のトラックに取り付けた。
採用したのはオリックスの「e-テレマ」。衛星利用測位システム(GPS)機能付きの小型装置を車に搭載し、最高速度や急発進・急停止時の加速度などが、設定した数値を超えた場合に上司らにメールが自動送信される。
生協によると、システム導入前の11年度に111件あった事故が、14年度は65件に減った。システム搭載車両のうち、導入時は約5割に速度超過がみられたが、2年半後には3%に激減した。
コープ東北事業連合(仙台市)共同購入運営本部の斉藤則男トレーナーは「事故削減と安全運転徹底は『安全と安心』を追求する生協にとって必須。運転手からの評判もいい」と話す。青森、岩手、福島各県の生協でも導入を検討中という。
医薬品卸のバイタルネット(仙台市)は13年7月、営業車のうち、入社3年目までの若手社員向け車両約80台に導入した。営業車全体の1割未満で効果は鮮明ではないが、若手社員の運転スキル向上につながると期待されている。
オリックスによると、15年度の東北での導入数は前年比約6割増のペースで伸びている。仙台市の製造や環境関係の業者なども関心を示しているという。
環境NGOなどでつくる「ストップ温暖化センターみやぎ」(青葉区)が今月末、システムの導入企業に助成を始めることも弾みをつけそうだ。
オリックス自動車の渡辺大介リース営業本部副東北ブロック長は「事故に至らない『ヒヤリ、ハット』のケースを可視化できる。事故リスクの排除と環境対策に役立てていただきたい」とPRしている。

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