嘘のつもりが人生終了?「食品に虫が混入」で懲役の可能性も

人気のカップ焼きそば「ぺヤング」にゴキブリが混入していたという画像がインターネット上で公開されて話題となりました。
今回の件について、製造会社は声明を発表し、現在は、このゴキブリが製造過程において混入したものかどうか、調査を進めている状況のようです。
過去には、食品製造業者において、汚物や農薬などを内部の者が嫌がらせや鬱憤晴らしなどの目的で混入させたことが後に発覚した、という事件がありました。
また、風評被害を与えるために、本当は異物など混入していないのに混入したなどという情報をインターネットなどを利用して流通させるといったことも、現代であれば容易に起こりうることです(今回のぺヤングの混入の件が、このようなものであるという趣旨ではありませんので、ご理解ください)。
そこで、今回は、本当は異物混入の事実がないにも関わらず、そのような情報をインターネットなどを利用して流通させた場合に、法律上どのような罪に問われるか、お話します。
■業務妨害罪の成立
嘘の情報を流通させた人が特定された場合、その人は、「虚偽の風説を流布した」として、業務妨害罪に問われることとなるでしょう。
嫌がらせ目的の場合でも、冗談だった場合でも、自分が流している情報が真実とは違うと認識していれば、業務妨害罪は成立します。
また、業務妨害罪の成立のためには、実際に業務が妨害された(例えば、商品を回収しなければならなくなった。当面の間商品を販売することができなくなったなど)ことは必要ありません。
業務が妨害される危険があれば、業務妨害罪は成立するとされています。異物混入の噂などは、それが流れること自体で、業務に多大な支障が生じる危険が生じますので、流通させたことにより犯罪が成立することとなります。
業務妨害罪が成立すると1ヶ月以上3年以下の懲役刑か、1万円以上50万円以下の罰金刑に処される可能性があります。
なお、実際に異物混入させたケースでは、混入させた人に威力業務妨害罪が成立し、先の業務妨害罪と同じ刑罰が課されることとなります。
■民事責任も重い
このようなケースでは、食品製造業者は、商品回収、一定期間販売できないといった状況に追い込まれ、莫大な損害が生じることとなります。
実際に請求されるかどうかは、ケースバイケースでしょうが、法的には、嘘の情報を流した人は、このような損害に対して賠償責任を負うこととなります。そして、このような責任は、自己破産することによって免責してもらうこともできません。
軽いつもりで流した嘘により、自分の人生を大きく狂わせる結果が招かれると言っても、過言ではありません。
*著者:弁護士 寺林智栄(ともえ法律事務所。法テラス、琥珀法律事務所を経て、2014年10月22日、ともえ法律事務所を開業。安心できる日常生活を守るお手伝いをすべく、頑張ります。)

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