<川魚もアブナイ>
セシウム汚染が身近な外食チェーンにも迫ってきた。国際環境NGOの「グリーンピース・ジャパン」が、大手回転寿司チェーン5社の店舗を抜き打ち調査したところ、千葉県産のネタのマイワシから放射性セシウムが検出されたのだ。
グリーンピースは8月9~16日にかけて、大手回転寿司チェーンの「かっぱ寿司」「くら寿司」「スシロー」「魚べい(元気寿司)」「銚子丸」の首都圏(東京、神奈川、埼玉)の10店舗で提供されていたハマチ、カツオ、サンマなど20品目のネタを抜き打ち調査した。その結果、「くら寿司 品川駅前店」のマイワシから1キロ当たり10.9ベクレルの放射性セシウム(セシウム134、137の合計)が検出されたという(他のサカナは5ベクレル未満)。国の基準値(1キロ当たり100ベクレル)を大きく下回っているとはいえ、子どもに人気の高い回転寿司でセシウムが検出されたのは気になる。グリーンピースの調査結果について、くら寿司側は「国の基準値を下回っているので、特に問題がないと判断している」と回答したという。
グリーンピースの海洋生態系問題担当、花岡和佳男氏はこう言う。
「どこの海域で取れた魚なのか、どれほど放射能汚染されているのかを気にして、震災以降に回転寿司を敬遠する消費者の声を聞きます。トレーサビリティー(生産履歴管理システム)の確立や放射能検査の強化を率先して行い、商品情報を十分に消費者に公開するべきです」
福島原発事故で、日本近海の魚は一体どれほど汚染されたのか。ヤバイのは海だけではない。東京海洋大名誉教授の水口憲哉氏が緊急出版した「淡水魚の放射能」(フライの雑誌社)には、2012年3月、福島・飯舘村の新田川のヤマメから1万8700ベクレルの放射性物質が出てきたことが書かれている。雲の移動との関連で、標高が高いほどより多くのセシウムが沈積するという。川のサカナも危ないのだ。
NPO法人「食品と暮らしの安全基金」代表の小若順一氏がこう言った。
「福島原発事故で放出された放射性物質による海洋汚染は確実に北上している。北海道沖で汚染魚が見つかるのも時間の問題でしょう。汚染の割合は陸の1~2に対し、海は8~9。魚の汚染はこれからが深刻です」
忘れた頃が危ないのだ。