図書館を街づくりの核に 497自治体が事業

公立図書館で地域振興や街づくりを目的とした事業を行う自治体の数が、少なくとも497に上ることが9日、日本図書館協会(日図協)が実施した初の全国調査で明らかになった。
農家との交流会や子育て中の女性の就業支援、ビジネス相談など多彩な取り組みの実態も判明。政府が「地方創生」を掲げる中、図書館を街づくりの核に据えて地域活性化を目指す自治体の広がりが浮き彫りになった。文化基盤の整備が地域活性化につながるとの認識の浸透が背景にある。
日図協は昨年8月、図書館を設置する全国1361の都道府県と市区町村にアンケートを送り、1049の自治体から回答を得た。このうち47%に当たる497自治体が、街づくりや地域振興に役立てることを目的にした図書館事業を行っていると回答した。
調査では事業の具体例も募った。果樹栽培が盛んな岩手県紫波町では、図書館が農家と消費者などの交流行事や農業に関するデータベースの講習会も開くなど農業支援を掲げる。福岡県立図書館(福岡市)では、育児中の女性向けの就業相談会や、シニア世代向けに起業やボランティアに関するセミナーも行っている。
絵本作家らを招いたイベントや絵本コンクールで「絵本のまち」をPRする和歌山県有田川町、飲食店などがお気に入りの本を置く北海道恵庭市や長野県小布施町の「まちじゅう図書館」など、街の新たな魅力を生む試みも多い。地元の中小企業診断協会や日本政策金融公庫とビジネス相談会を共催する広島市立中央図書館など、経済活動への支援も各地で活発だ。
日図協は近く調査概要を公表し、寄せられた事例も公開する方針。

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