国内初の内密出産へ 10代母親の名前記さず出生届、慈恵病院が方針

熊本市の慈恵病院は、西日本の10代女性が匿名を希望して出産した赤ちゃんについて、女性の意向を踏まえ、母親の名前を記さずに出生届を出す方針を固めた。病院が独自に受け入れを表明してきた「内密出産」の国内初の事例となる。関係者への取材でわかった。 【画像】「(法整備の)近道は私が捕まることかと思う」 受け入れ病院の院長が語った  内密出産は、予期しない妊娠をした女性が、病院の担当者だけに身元を明かして出産し、後に子どもが望めば出自を知ることができる仕組み。法律に定めはないが、様々な事情で女性が孤立出産に追い込まれ、母子の命が危険にさらされることを防ぐ狙いから、慈恵病院が2019年に導入を表明した。  病院の説明によると、女性は昨年11月中旬にメールで病院に相談。妊娠を知られて親に縁を切られることや、相手男性からの暴力を恐れ、匿名での出産を望んだ。12月に来院して赤ちゃんを出産。女性はその後、病院の説得を受け、新生児相談室長にのみ身元を明かした。子どもの特別養子縁組を望む書面を作成して退院した。  一方で女性は赤ちゃんに深い愛情を示し、病院は女性が翻意する可能性もあるとみて、連絡を取りながら意思の確認を続けてきた。確認できた女性の意向を踏まえ、病院は母親の名前を記さずに出生届を熊本市西区役所に出す見通しだ。女性とは今後も連絡を保つ方針だという。

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