国内最古級オルガン、京都で発見 大学所蔵、米国から伝わる?

京都市上京区の平安女学院大にあるリードオルガンが、国内最古級と見られる約150年前の江戸時代末期の製造であることが修理の過程で分かった。同大学に長年保存されており、「創設者の米国人宣教師が持参したのでは」と推測される。11月に修理が終わってよみがえった音色に、学生たちは幕末、明治維新へ思いをはせている。
 リードオルガンは、米国メイソン&ハムリン社製で、横144センチ、幅46センチ、高さ104センチの足踏み式。譜面台の下には1867年から85年までの万博開催地を刻んだメダル形の装飾が施され、左右に燭台(しょくだい)も備わっている。
 同大学の前身・照暗女学院(大阪市)に伝わったとされるが詳細は分からず、昭和50年ごろまで授業や礼拝に使われていた。近年は音が出なくなったため、平安女学院の記念品が並ぶメモリアルルームに保存されていたという。
 来年創立140周年を迎えるのを機に、オルガンの名器を扱うふたば楽器店(宇治市)に修理を依頼した。メダルの刻印から1886年以降の製造と思われていたが、店主の加藤正治さん(75)が解体したところ、製造番号から66(慶応2)年製と判明した。加藤さんは「これまで見た中で最も古い」とする。
 同社の製品は高い技術による優れた音質が特徴で、米国では高級ピアノ・スタインウェイに次ぐブランドとして知名度も高い。加藤さんは、約20日間かけてリードやふいごを修理した。
 来日米国聖公会宣教師の報告書簡集には、照暗女学院創始者の米国人女性エレン・G・エディがオルガンの伴奏で子どもに歌を教えた記述がある。同学院広報チームの吉田健一さん(65)は「オルガン伴奏で聖歌を教えて宣教のきっかけにしようと、来日の際に船で持参した可能性がある。学院の歩みを感じられる貴重な品物」と喜ぶ。
 日本リードオルガン協会(東京都)の赤井励顧問(63)は「全ての製造年数は調べきれていないが、国内に現存する中で最古級ではないか」と話している。

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