国連気候変動枠組み条約第26回締約国会議(COP26)で、2040年までに新車販売を全て電気自動車(EV)など走行時に二酸化炭素(CO2)を排出しない「ゼロエミッション車」とする宣言に、二十数カ国が合意した。 【図解】ガソリン車とEVの部品の比較 日米中などは不参加だが、国内自動車メーカーは急激なEV化の流れを警戒。一方で「脱炭素に後ろ向き」とのレッテルを貼られれば、海外での販売に影響が及ぶリスクも抱える。 自動車大手では今年に入り、電動化目標の引き上げや前倒しの表明が相次いでいる。ただ、多くのメーカーは当面、ガソリンエンジンとモーターを併用するハイブリッド車(HV)も含めた電動化戦略を描く。裾野の広い自動車産業で、エンジンを搭載しないEVへのシフトが一気に進むと、雇用に影響するとの懸念もある。 マツダの丸本明社長は「化石燃料による発電比率が高い中でEVを増やしても、CO2は増えてしまう」と主張。スズキの鈴木俊宏社長も「電動化のやり方は国や地域によって異なる」とEV一辺倒には懐疑的な見方を示す。 今回の合意には米ゼネラル・モーターズ(GM)なども賛同したが、日本勢は含まれていない。トヨタ自動車は、世界の多くの地域で発電方法やインフラ整備など電動化を推進する環境が整っていないとして、「今の段階で共同宣言にコミットすることは困難」と説明する。 一方で、トヨタは新型EV「bZ4X」を22年半ばから世界の主要市場に投入する。同社の長田准執行役員は自社EVについて、「決して(他メーカーに)劣っていない」と訴える。それでも「『EVの反対派』と言われる。どうしたら真剣にやっていると伝えられるのか」と頭を悩ませている。