国分町、営業自粛派と継続派に二分 「休業すればつぶれる」 新型コロナ、経営を直撃

新型コロナウイルスの感染が拡大する中、東北最大の歓楽街、仙台市青葉区国分町の飲食店などが、営業自粛派と継続派に割れている。大半が自粛する中、ウイルスが広がりやすい密閉、密集、密接の「3密」を自覚しながら営業を続ける店がある一方、新たなクラスター(感染者集団)発生への懸念から休業を選ぶ店もある。
 「おさわりどうですか。キャバクラもあります。どの店でも紹介できます」
 4月上旬、酔客の姿が消えた国分町通で「キャッチ」と呼ばれる客引きの男性が声を掛け続けていた。ざっと数えて100人近く。
 20代のキャッチの男性によると、ほとんどのキャバクラや性風俗店が営業を続けているという。休業すればつぶれてしまうからだ。特に女性と濃厚接触する性風俗店は客足が遠のき、新型コロナの影響が経営を直撃している。
 営業を続けるキャバクラの女性従業員(24)は「客はすごく減った。世の中が暗い空気の中、私たちが元気を出さないと駄目だと思う。仕事も楽しいから休みたくない」とあっけらかんと話す。
 一方、バーやナイトクラブ、飲食店など約5000店が加盟する宮城県社交飲食業生活衛生同業組合によると、国分町の6、7割の店が営業を自粛している。
 36周年を迎えた老舗クラブ「0909(わくわく)」など国分町に5店舗を構えるユミコーポレーション(青葉区)は、3日から全店を臨時休業にした。いつでも再開できるように週3日のペースで店の掃除を徹底。ホステスには給料を前払いし、生活を支えている。
 斎藤由美子社長(59)は「国分町からともしびを消したくない思いはあったが、感染者集団を出すわけにはいかない。いつまで続くのか先が全く見えない」と戸惑い気味に話す。
 国分町に隣接する一番町4丁目では英国風パブが集団感染源となり、二次、三次感染が既に確認され、四次、五次感染への懸念が高まる。集団感染源が新たに国分町から出れば、歓楽街のさらなるイメージ低下は避けられない。
 県社交飲食組合の担当者は「国分町全体で休んだ方がいいのだろうが、言い出せば補償の問題が出る。国が一律に休業補償をしなければ国分町としての対応はまとまらない」と語った。

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