災害に強い国土づくりのため、政府が今後3年間で集中して行う「国土強靱(きょうじん)化」の緊急対策として、3兆5千億〜4兆円程度の財政支出を想定していることが21日、分かった。初年度となる平成30年度第2次補正予算案には、1兆円以上を盛り込む方向だ。防災、減災のためのインフラ整備を進めると同時に、来年10月の消費税率10%への引き上げにあわせ、景気浮揚策としても役立てる。
西日本豪雨や大阪、北海道の大地震を踏まえ、安倍晋三首相は今年10月24日の所信表明演説で「防災・減災、国土強靱化を3年間集中で実施する」と述べ、緊急対策を年内にまとめる考えを示した。今月20日には、防災・減災のための公共事業を柱とする30年度第2次補正予算案の編成を指示している。
政府は緊急対策に、老朽化した道路橋、公共施設の改修のほか、空港の浸水対策、堤防の強化といった公共事業を盛り込む。台風に備えた鉄道の計画運休といった、ソフト対策の促進も提案する方向だ。
国内のインフラを災害に対して強くし、物流網や生産設備が大きな打撃を受けないようにして、日本経済の生産性を底上げする。内需を刺激し、消費税増税後の需要減退や、米中貿易摩擦による世界経済失速の悪影響が及ぶリスクにも備える。
必要な支出は、12月に政府案をまとめる30年度第2次補正予算と31、32年度の各予算で手当てする。合計支出額は最大4兆円程度を見込み、各年度の予算にそれぞれ1兆数千億円規模を振り分けたい考えだ。
30年度第2次補正予算の財源に関しては、前年度の剰余金や建設国債の追加発行で賄う可能性がある。今後、政府内で調整し、最終的な金額を詰める。