国民スポーツ大会、「何らかの見直し必要」9割 全国知事アンケート

◇毎日新聞独自調査  都道府県の持ち回りで毎年開かれている「国民スポーツ大会」(旧国民体育大会、国スポ)のあり方について、毎日新聞が47都道府県知事を対象にアンケートしたところ、42都府県知事が何らかの見直しが必要との考えを示した。開催時の課題として、42道府県知事が財政負担の重さを指摘。直近10大会の開催地に自治体の負担額を尋ねたところ、ほとんどが100億円を超えていた。開催地の持ち回りが2035年から3巡目に入るのを前に、負担軽減を含む対策が求められそうだ。 【写真】1946年に始まった国体は2024年から国スポに。見直し求める声強く  国スポを巡って、全国知事会長を務める宮城県の村井嘉浩知事が4月8日の記者会見で「廃止も一つの考え方」と述べて以降、各地の知事から発言が相次いでいた。毎日新聞は4月中旬に47都道府県にアンケートを送り、5月14日までに全て回答を得た。ただし、愛知県は大村秀章知事が国スポの課題などを検討する全国知事会の文教・スポーツ常任委員会の委員長であることを理由に「質問項目への回答は控える」とした。  アンケートは、国スポを①現状のまま継続すべきだ②継続すべきだが、あり方を見直すべきだ③廃止すべきだ――の三つの選択肢で尋ね、36知事が②の見直しを選んだ。  宮城県の村井知事は③の廃止を選んだ上で「完全に廃止すべきだという意味ではない。このまま3巡目に入るのではなく廃止も視野にゼロベースで検討すべきだ」とした。26年の開催地である青森県の宮下宗一郎知事は見直しと廃止の両方を選び、「見直しは必至。費用負担、人的負担、市町村の同様の負担、硬直的な大会運営が見直されない限り、廃止もやむを得ない」とした。  8都道県知事は選択肢を選ばずに理由を記述。このうち東京都の小池百合子知事が「抜本的見直しが必要」とするなど群馬、富山、長野の4都県知事は見直しを求める立場だった。他の4道県知事は「全国知事会の議論を注視して検討」などとした。「現状のまま継続すべきだ」を選択した知事はいなかった。  各知事が挙げた課題(複数回答)では、財政負担の重さ(42道府県)が最も多く、人的負担の重さ(40道府県)▽施設の新設・改修費の重さ(39道府県)▽担い手や参加者の減少(15県)――と続いた。見直しの具体策では、30府県が国の補助金増額を挙げ、式典の簡素化(29府県)▽複数県によるブロック開催(22府県)▽大会規模の縮小(15県)――の意見も目立った。  開催地域が限られる冬季大会について、北海道の鈴木直道知事や長野県の阿部守一知事らが「特定地域への負担が大きい」などと訴えた。都道府県対抗で男女総合優勝に天皇杯、女子総合優勝に皇后杯が授与される大会形式について、都道府県で人口規模や競技環境が異なることを踏まえ疑問を投げかける意見もあった。  国スポを巡っては日本スポーツ協会(JSPO)が23年10月、大会のあり方を考えるプロジェクトを立ち上げ、近く検討部会の開催を予定している。【池田真由香、平川昌範】  ◇国民スポーツ大会  都道府県の持ち回りで毎年秋と冬に開かれる国内最大のスポーツ大会。スポーツ基本法で規定され、日本スポーツ協会、文部科学省、都道府県の3者で共催する。1946年に「国民体育大会」(国体)として始まり、都道府県対抗で争う。2024年の第78回大会から「国民スポーツ大会」(国スポ)に名称変更された。23年秋の鹿児島大会は37競技に選手、監督ら計約2万2000人(正式競技のみ)が参加した。  <全都道府県知事の回答全文は毎日新聞のニュースサイトでご覧いただけます>

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