“国民食”カレーライス 「漢方」としての役割も

カレーはそもそもインド料理ですが、わが国には明治の初めイギリスから調理法と共にカレー粉が伝わりました。その後、日本人の味覚に合わせ改良・工夫され、じゃがいもやにんじんを入れる日本独特のカレーライスが誕生しました。現在では「国民食」と呼ばれるほど、日本の食生活に溶け込んでいます。(いいなクラブ)
 カレーの語源は、北インドタミール語のkari(ソースの意)から出たと言われています。
 インドでは香辛料を使った汁状の料理のことをさします。インドの家庭では、食材・料理法やその日の気候、体調に合わせて香辛料を混ぜ合わせ味付けをします。この混合された香辛料が17世紀頃、インドを植民地としていたイギリスに伝えられました。その後、香辛料についての開発が進み、イギリス人の好みに合わせたカレー粉が作られました。日本には明治初期、調理法と共にカレー粉が伝わりました。
【カレー粉の香辛料】
 カレー粉は、20~30種類の香辛料を調合したパウダーのこと。使用される香辛料は以下の3つに分類されます。
◆香り…カレー独特の香りを生み出す香辛料(50%以上配合)
クミン、カルダモン、コリアンダー、フェネグリーク、オールスパイス、クローブ、オレガノ、タイムなど約20数種
◆辛味…辛味を付ける香辛料、配合によって辛さが決まります(5~20%配合)
トウガラシ、コショウ、マスタード、ショウガなど約5種類
◆着色…カレー独特の色を生み出す香辛料(10~30%配合)
ウコン、パプリカ、サフラン
【カレー粉の香辛料の効能】
 カレー粉の基本となる香辛料は、漢方としての役割を担っているものがあります。発汗作用によって新陳代謝を高めてくれるほか、食欲を増進させたり、胃腸の働きを高め、疲労回復を促進します。また、血流を良くし、体を温めてくれる効果もあります。
【カレールウの誕生】
 現在の日本のカレーライスの形になったのは、タマネギ・ニンジン・じゃがいもといった西洋野菜が普及し始めた大正時代とされています。家庭での調理にカレー粉は必須でしたが、1960年代にカレールウが開発されて以来、今では手軽なカレールウが利用されるようになりました。
 カレールウとは、カレー粉と小麦粉を食用油脂で十分に炒めたもの(ルウ)を混ぜ合わせたもの。今までのルウを作るという調理工程が省かれたこともあって、シーフードや茄子等の野菜にフルーツなど、様々な食材を使用した各家庭独自のカレーを作ることができるようになったのです。現在、たくさんのカレールウが市販されていますが、それぞれカレー粉の香辛料の配合を変えるなど様々な工夫がされています。
 一年中食べられている美味しいカレー。食欲がなくなったり胃腸の弱る夏に食べるのも良いですが、血流を良くしてくれる働きもあるので、寒い冬にもお勧めします。

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