国産スポーツカーが謎の価格急騰。貴重な名車が海外流出!

ここ最近、25年も前に発売された国産スポーツカーが急激に値上がりするという謎の現象が発生している。

【参照】25年間、同じシーマに乗り続けてきた女優・伊藤かずえのクルマ愛

原因のひとつは、当時、若者だった世代が大人になり、時間とお金に余裕ができたことで、1990年代の国産スポーツカーを買う人が増えたことが挙げられる。しかし、それだけでは説明できないほど、一部の国産スポーツカーの相場は異常な高騰を続けているのだ。

年式が古くて走行距離も多いにもかかわらず、5年前と比べても現在の価格のほうが上がっていたりする。実はその背景に、海外からの爆買いの影響が…?

「現在、1989年に登場したR32型スカイラインGTR、1999年に登場したR34型スカイラインGT-R、さらに1990年に登場したNSXなどの 国産スポーツカーが値上がりを続けています。これらが高騰しているのは、車両が海外に流出し、国内市場で出回る台数が減ったことも大きな原因です」

こう話すのは、中古車事情に詳しい自動車専門誌の編集者M氏だ。しかも、この高騰にはアメリカの安全規制が大きく絡んでいるのだという。

「アメリカには、米国内で新車販売されたクルマ以外について、製造後25年経過しないと輸入できない“25年ルール”と呼ばれる規制がある。逆に言えば、 25年以上経過したクルマなら輸入可能になるということ。だから80年代後半に発売されたNSXやR32型のGT-Rをアメリカの業者が大量に輸入するよ うになったのです。

また、R34型のスカイラインGT-Rが高騰している背景には別の要因がある。カナダでは、アメリカ以外の中古車について、製造から15年以上経過すると 輸入可能になる規制がある。それで17年前に発売されたR34型がカナダで輸入解禁となり、異常な高値の原因となっているんです」

通称“25年ルール”とは、1960年代後半に始まった米連邦自動車安全基準(FMVSS)のことで、目的は米自動車メーカーの保護。それにしても、この規制ができた当時は、25年も経過したクルマに人気が集まるなんて、アメリカ当局も予想できなかったことだろう。

現在、空冷エンジンの古いポルシェ911も高騰しているが、やはりこの規制の解除が影響している。さらに日本車に関しては、ここ数年の超円安で、海外から見るとかなり割安感が増したという要素も大きい。

しかし、この状況をすべての中古車販売店が歓迎しているわけではない。国産スポーツカーを中心に取り扱う中古車販売店の店長W氏がタメ息まじりに言う。

「北米以外にも、毎日のように東南アジアや中国、オセアニアからの引き合いがありますが、すべて断っています。なぜなら、一度海外へ流失してしまったクル マは二度と国内に戻ってこないからです。カッコいい国産中古車というのは、日本にとって財産なんです。それを海外に流出させることは、貴重な財産が失われ ることを意味するのです!」

では実際、国産スポーツカーはどのぐらいの高値で買われているのだろうか。発売中の『週刊プレイボーイ』10号では特集記事「中古車屋さんが絶対に教えたくない 買ったときよりも高く売れるクルマはこれだ!」で大検証。ぜひ、参考にしていただきたい。

(取材・文/菅沼 慶 手束 毅 萩原文博)

■『週刊プレイボーイ』10号(2月22日発売)「情報誌が絶対書けない 禁断の中古車購入術」より

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