国連防災世界会議まで1年 3本柱減災意識盛り上げ

 仙台市で2015年3月に開催される第3回国連防災世界会議は、閣僚級の本体会議と一般公開事業、歓迎事業の3本柱で構成される。一般公開イベントや語学ボランティアなど市民の参加機会もある。
 本体会議は国連主催。国連加盟全193カ国の代表をはじめ国際機関、NGOから約5000人以上が出席し、05~15年の取り組み指針「兵庫行動枠組」の評価と後継戦略の策定に当たる。
 神戸市で05年にあった前回会議で、国連国際防災戦略事務局職員として運営に携わった東北大災害科学国際研究所の小野裕一教授(国際防災)は「今後も東日本大震災のような低頻度の巨大災害が起こり得るという認識を共有し、10年間の社会や環境の変化を踏まえた対策を話し合うことになるだろう」と説明する。
 一般公開事業は市民が参加できる。青葉区のせんだいメディアテークや東京エレクトロンホール宮城(宮城県民会館)のほか、青森、岩手、福島の各県で防災や復興をテーマにシンポジウムやセミナーがある。公募事業もあり、主催する団体やNPOの一員として携わることも可能だ。
 会議全体の盛り上げにも結び付くことから、市国連防災世界会議準備室は「多くの人に集まってもらい、防災・減災意識の向上につなげたい」と話す。
 市は語学ボランティアも募る予定。海外からの関係者への対応のため、仙台空港やJR仙台駅、ホテル、各会場で通訳に当たってもらう。
 歓迎事業では東日本大震災の被災地への視察旅行を企画。被災状況や復興の現状を発信するとともに、東北の観光資源をPRする。
 前回会議では琴の演奏や伝統工芸品の制作実演などが彩りを添えた。市主催のレセプションでは東北6県の郷土食を提供し、観光パンフレットの配布も検討している。
◎おもてなし官民挙げて/仙台宿泊、交通準備本格化
 延べ4万人以上が参加する国連防災世界会議が1年後に迫り、仙台市は宿泊や交通面の受け入れ準備を本格化させている。外国人観光客誘致や交流人口拡大のチャンスにもなることから、官民挙げてホスピタリティー向上に取り組む。
 国連主催の本体会議に出席する各国代表団ら約5000人規模の宿泊に関しては、大手旅行代理店が市中心部のホテルに約2500室余りを確保した。
 会議の主会場は青葉区の仙台国際センターと、その西側に市が建設中のコンベンション施設。新施設はことし12月に完成し、会議がこけら落としとなる。
 ホテルと会場はシャトルバスで結ぶ。青葉区のせんだいメディアテークなど一般公開事業の会場もつなぐ。
 外国語対応も急ぐ。市はJR仙台駅周辺からメーン会場までの動線を核に、案内標識を分かりやすいデザインや外国語併記に変更する予定。外国人客を見込む商店主らには、指さしの会話表を配布する。飲食店の多言語対応メニュー表作成も支援する。
 宮城県タクシー協会は料金目安などを指さしで示せるよう英語、中国語、韓国語で説明を記載したシートを活用する。仙台国際交流協会の通訳サポートを受けることも検討している。
 仙台商工会議所中小企業支援部の高橋貴美江部次長は「仙台市が外国人観光客にとって歩きやすく、魅力的な街になるきっかけにしたい。歓迎の気持ちが伝えられるよう市の環境整備に協力するとともに、おもてなしの意識醸成に力を入れる」と話す。

タイトルとURLをコピーしました