土俵であいさつの市長倒れる 救命女性に「下りて」…批判続々

京都府舞鶴市で4日に行われた大相撲春巡業で、土俵上であいさつをしていた多々見良三舞鶴市長(67)が突然倒れ、救命処置をしていた女性に対し行司が「土俵から下りて」とアナウンスをしていたことが分かった。結果的に命に別条はないとみられるものの、人命より伝統を優先させたともとられる判断に、ネット上などでは批判の声が上がった。

春巡業は舞鶴市の市制施行75周年を記念して催された。会場に居合わせた日本相撲協会関係者や地元関係者によると、多々見市長は午後2時すぎ、土俵上であいさつしている途中に突然、仰向けに倒れた。

警察官やスタッフら複数の女性を含む10人前後が土俵に上がり、心臓マッサージなどの救命処置を施していた最中、場内放送で「女性の方は土俵から下りてください」と3度アナウンスが流れた。さらに「男性にお任せください」と付け加えられた。慌てて下りようとした女性もいたが、思いとどまり土俵に残った。女性は医療関係者との情報もある。

日本相撲協会の八角理事長は「行司が動転して呼びかけたものでしたが、人命にかかわる状況には不適切な対応でした。深くおわび申し上げます」と協会を通じてコメント。場内放送は行司が担当していた。

大相撲の土俵は古くから「女人禁制」とされてきた。1990年に当時の森山真弓官房長官が、首相の代理として優勝力士に内閣総理大臣杯を手渡したいと希望。相撲協会側が難色を示し、社会的論議を巻き起こした。2000年には大阪府の太田房江知事が、府内で開かれる春場所の土俵上で優勝力士を自ら表彰することを希望したが、このときも協会側は断っている。

市長は担架で土俵の外に運び出され、市内の病院に搬送された。市によると今後精密検査を受ける予定ながら、意識があって会話もできていたという。地元関係者は「会場は騒然としていた。みんなが大丈夫かなと思っている時に、場違いなアナウンスだなと思った」とあきれたように話した。

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