土器底面に「坂本」 地区起源示す最古史料 宮城・山元

宮城県教委は17日、宮城県山元町坂元の熊の作遺跡から底面に古い地名の「坂本」と記された8世紀(奈良時代)の墨書土器の一部が見つかったと発表した。坂元地区の起源「坂本郷」の存在を示す最古の史料になるという。
 2400平方メートルに及ぶ遺跡の南端の河川跡から発掘された。直径10センチほどの底中央に墨で「坂本願」と書かれていた。土器は祭祀(さいし)などに使われたとみられる。「坂本」の地名はこれまで、9世紀(平安時代)の文献に記されていたのが最古だった。
 調査では縦15メートル、横5メートルの堀立柱建物跡、8メートル四方の竪穴住居跡など当時としては大規模な建築物の遺構も確認された。身分の高い役人が帯に付けていた石の装飾品などが出土。町道を挟んだ向山遺跡では、平安時代の10棟の製鉄工房跡、鉄のかすやふいごの羽口なども見つかった。
 県教委文化財保護課の初鹿野博之技師は「製鉄を管理する有力者が居住していたのではないか」と話す。
 調査は東日本大震災で被災したJR常磐線の内陸移設工事に伴い、4~11月の予定で進められている。今後は町南部の4カ所の遺跡も調べる。
 県教委は19日午前10時半から坂元中で説明会を開き、現地見学も行う。連絡先は文化財保護課022(211)3685。

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