給与が日本一高い会社は産業機器大手のキーエンスだった。東京商工リサーチは2015年3月期決算の会社を対象に「年間平均給与」をランキングした。キーエンスは昨年の6位(1440万円)から大幅アップし1648万円と1位に躍進だ。
「キーエンスの業績は2ケタの増収増益と絶好調です。売上高営業利益率が50%以上あり、無借金経営で知られます。高額給与は当然かもしれません」(市場関係者)
2位はアベノミクスによる株高で売買手数料がグッと増えた野村HDで、1579万円。大和証券グループ本社も1170万円とトップ30入りした。3位は関西地盤のテレビ局、朝日放送で1518万円。驚くことに4~7位は在京キー局がズラリと並んだ。
「アベノミクスの賃上げ要請で東京放送HD、日本テレビHD、テレビ朝日HDの3社は、ただでさえ高額な給与が一段と増えた。証券会社と同じくアベノミクスの恩恵を受けているのだから、安倍政権に批判的な報道を控えて当然でしょう」(証券関係者)
東京商工リサーチは、「例年同様にテレビ局、総合商社、大手金融機関は上位にランクイン」と分析。伊藤忠(8位)をはじめ三菱商事(10位)、三井物産(12位)など5大商社はそろって上位30社に名を連ねた。
上場企業(調査対象の2305社)の平均給与は616万5000円だ。前年より10万9000円(1.8%)増え、4年連続で増加している。
「大企業の給与増は確かに鮮明になっています。でも中小・零細企業の給与は、大企業に比べ伸びが小さい。給与を見ても、アベノミクスは大企業優遇策だといえるでしょう」(株式評論家の倉多慎之助氏)
厚労省の「賃金構造基本統計調査」(2014年)によると、賃金の平均伸び率は前年比1.3%だ。上場企業の1・8%より低い。やっぱり、アベノミクスは賃金格差を拡大させただけだ。