在宅ワークで疲弊する会社員たち 「やっぱり職場が一番」の声も

新型コロナウイルスの感染を防ぐ目的で、多くの企業で導入された在宅での「リモートワーク」。時間を有効活用できることを歓迎する声がある反面、業務上のデメリットが生じているケースもあるようだ。コロナ収束の気配が見えない中、制度が導入されている会社員たちに「リモートワーク疲れ」の実態を聞いた。

光熱費、トイレットペーパーなどの出費が痛い

 20代の男性・Aさんが勤務するIT企業では、2月初旬からリモートワークを導入している。当初こそ、職場との往復に費やす時間や職場での雑務が減り、業務に集中できることを喜んでいたが、次第にデメリットが気になるようになった。Aさんを特に悩ませていているのが、リモートワークで発生する支出だ。

「一日中家にいるので、光熱費が普段以上にかかる。品薄にも関わらず、トイレットペーパーの消費が激しいので、いつまでもつか不安です。インターネットの速度も会社ほど速くないため、ページの読み込みにも時間がかかります」(Aさん)

夫婦一緒にリモートワークで仲がぎくしゃく

 食品メーカーに勤める30代の女性・Bさんの家庭では、夫婦ともにリモートワークになった。夫と一日中、生活を共にすることになり、戸惑いが隠せないという。

「振り返ればこれまで、平日の日中にここまで長時間、夫婦一緒に居たことがありませんでした。毎日三食を共にするようになり、相手の些細な癖や言動にイライラすることもしばしば……。家庭モードとは異なる仕事モードの人格を見られてしまい、夫が戸惑っていることにも気づいています。このまま在宅勤務が続くことによって、夫婦仲に支障が出ないか心配です」(Bさん)

 リモートワーク導入の結果、「余計な仕事が増えた」と憤るのは、化学メーカーで事務職に就く30代の女性・Cさん。

「これまでは決まった仕事を淡々とこなすだけで良かったのに、業務終了時にその日の進捗をメールで報告することが義務づけられるようになりました。仕事の進み具合を確認する意図とはいえ、作業が増えるのは面倒だと思うのが本音です」(Cさん)

働く環境が一番整っているのは「職場」

 リモートワークに見切りをつけ、上司との相談の結果、オフィスでの勤務に戻ったというのは、メディア関連企業に勤務する30代の男性・Dさん。

「家のパソコン用のモニターや椅子は、そもそもそこで仕事をするために購入したものではないので、長時間での勤務は難しい。また、ビデオ会議での打ち合わせでは、意思疎通に難があり、思うように仕事を進めることができませんでした。通勤を再開したことで、運動不足も解消したように感じます。設備も整っていて、業務も捗りやすい会社のオフィスのありがたみを、再認識しました」(Dさん)

 職場から離れた場所での業務を可能とするリモートワークが、かえって職場の価値を証明してしまった側面もあるようだ。

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