在宅被災者の手仕事人気 支援物資など生かし製作販売 石巻

東日本大震災で被災した自宅で生活する宮城県石巻市渡波・鹿妻地区の女性たちでつくるグループ「おだってばりぃで」の手作り商品が、人気を集めている。古着や支援物資を生かした商品は海外でも販売されている。手仕事がやりがいを生み、コミュニティービジネスも芽生えようとしている。
 商品は、古い着物を使ったコースター(4枚1500円)、支援物資のタオルを小さなドレス風に仕立てた「こまっちゃぐれタオル」(1枚1000円)など。ネックレスやブローチといったアクセサリーも手掛ける。
 買ってくれた人にメッセージを書いてもらおうと返信用はがきを添えたところ、全国各地から数百枚が返ってきた。ボランティアを通じて米国などでも販売され、ニューヨークからも応援メッセージが届いた。
 メンバーは自宅が津波で浸水するなどしたが、流失を免れた在宅被災者。支援物資が届きにくく、不自由な生活を余儀なくされていた2011年夏ごろ、ボランティアから声を掛けられ、手芸品などを作り始めた。
 活動に本腰を入れるため昨年10月にグループを結成し、復興イベント会場などで販売している。「おだってばりぃで」は方言で「ふざけてばかりいて」という意味。作業中も冗談が飛び交い、笑いが絶えないことからグループの名前にした。
 就職して活動から離れたメンバーもいるが、現在は50~70代の5人が毎週火曜と木曜、拠点として借りた被災住宅で作業に精を出す。最近は注文が舞い込むようになってきた。
 震災で仕事をなくした代表の秋山京子さん(53)は、活動をきっかけに起業を目指している。「全国の人に喜んでもらえ、大きな励みになった。これからは支援物資に頼らず材料は仕入れ、仲間を増やして販路も広げたい」と意気込んでいる。
 商品は市内の「かめ七呉服店」や「観慶丸商店」などで扱っているほか、郵送でも販売する。連絡先は0225(98)6544=火曜・木曜午前10時~午後4時=。

タイトルとURLをコピーしました