地価公示 宮城宅地伸び率1位 岩手と福島下落率改善

 国土交通省は21日、2013年1月1日現在の公示地価を公表した。東北では、宮城の住宅地が22年ぶり、工業地も21年ぶりに上昇し、ともに全国一の上げ幅を記録。商業地も下落から横ばいに転じた。東日本大震災に伴う住宅移転や復興需要などで岩手、福島も下落率が大幅に改善した。一方で青森、秋田、山形3県の下落率は、小幅の縮小にとどまった。
 東北6県の住宅地と商業地の平均地価と変動率は表の通り。住宅地は宮城がプラスとなり、約7割の地点で上昇した。他の5県は下落率の改善は見られたが、いずれも全国平均(マイナス1.6%)以下だった。
 岩手と福島は前年は全地点で下落したが、今回は上昇、横ばいがそれぞれ22、54地点あった。上昇地点を見ると、岩手の16地点は全て沿岸市町村に分布。福島は38地点のうち36地点が、福島第1原発事故による長期避難者を多く受け入れている福島県いわき市に集中した。
 津波被害が大きかった岩手、宮城の沿岸市町村は、岩手県久慈市(マイナス3.8%)と宮城県松島町(マイナス1.3%)を除く20市町村で上昇。岩手県大槌町はプラス10.5%で2けたを超える上げ幅だった。
 上昇率の全国最高は、前年に続いて宮城県石巻市須江しらさぎ台の23.6%。上位10位までのうち、八つを石巻市、岩手県大槌町、いわき市が占めた。
 商業地は横ばいだった宮城を除き、5県は下落し、全国平均(マイナス2.1%)を下回った。秋田は全国の都道府県で高知(マイナス6.8%)に続き、2番目に下落率が大きかった。
 上昇率は石巻市鋳銭場が8.7%で全国7位、仙台市宮城野区榴岡5丁目が6.6%で10位に入った。宮城は全136地点のうち、半数を超える70地点で上昇か横ばい。前年に全地点で下落した岩手は、上昇と横ばいが3地点ずつあった。
 東北の調査地点は計1863。原発事故による警戒区域内など17地点は休止した。

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