地価公示 福島、宅地19年ぶり上昇 宮城、2年連続伸び率1位

 国土交通省は18日、2014年1月1日現在の公示地価を公表した。東北では東日本大震災と福島第1原発事故に伴う移転需要などから、住宅地は福島県が19年ぶりに上昇に転じた。宮城県は2年連続のプラスで上昇率は全国1位だった。青森、岩手、秋田、山形各県も住宅地の下落幅が縮小。商業地は宮城が6年ぶりにプラスとなり、上昇率は全国4位だった。
 東北6県と仙台市の住宅地、商業地の平均地価と変動率は表の通り。
 住宅地は宮城が調査地点の8割弱、福島が5割強で上昇した。岩手は内陸部と移転需要が続く沿岸部が対照的な結果となった。秋田は住宅地だけでなく、商業地、工業地とも下落率が全国ワーストだった。
 津波で被災した岩手、宮城、福島3県の計27市町村では、被災者の移転需要に伴い福島県南相馬、相馬両市がプラスに転じるなど、24市町村で横ばいまたは上昇。下落は岩手県久慈市(2.7%)、宮城県松島町(0.6%)、福島県広野町(0.3%)の3市町だった。
 上昇率の全国トップは3年連続で宮城県石巻市須江しらさぎ台(15.1%)。上位8位までを石巻市、福島県いわき市、仙台市が占めた。
 商業地は、宮城が調査地点の6割強で上昇。市地下鉄東西線の15年開業を控える仙台市や、郊外市街地の開発需要が旺盛な石巻市が県全体を引き上げた。
 他の5県は21、22年連続の下落となったが、景況感の改善効果で下落幅は縮小した。
 地点別で上昇率が東北最大だったのは岩手県大船渡市盛町木町の9.6%。仙台市宮城野区榴岡4丁目の9.0%が続いた。
 東北の調査は計1738地点。原発事故の避難指示区域内の17地点は休止した。
[公示地価]国土交通省の土地鑑定委員会が地価公示法に基づいて公表する土地の価格。公共事業の用地買収や、固定資産税、相続税評価の目安に使われる。今回の調査地点は、住宅地、商業地、工業地の計2万3380カ所(うち福島県の17は休止)。土地の価格の指標はほかに、都道府県が7月1日時点の地価を公表する基準地価や、国税庁が公示地価を基に算出する主要道路沿いの路線価、国交省が四半期ごとに主要都市を調査する地価動向報告がある。

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