ことし1月時点の全国の土地の価格動向が発表され、宮城県の商業地の平均価格は、新型コロナによる経済への影響が落ち着き、10年連続で上昇しました。
とりわけ、再開発が進むJR仙台駅東口近くの地点は去年より20%近く上昇し、県内で最も上昇率が高くなりました。
国土交通省は、毎年1月1日時点の全国の主な地点の土地の価格を「地価公示」として公表していて、宮城県内ではことし575地点が対象となりました。
〇商業地
県全体の平均で、去年より3.6%値上がりしました。
上昇は10年連続、上昇率は全国で3番目に高くなりました。
新型コロナによる行動制限の緩和で、個人消費が回復したことなどが背景にあるとみられています。
最も上昇率が高かったのは、JR仙台駅東口にほど近い、「仙台市宮城野区榴岡4丁目」の18.8%で、この春、再開発された大型商業施設がオープンすることなどが後押ししました。
上昇率上位10地点すべてを仙台市が占め、いずれも2桁の高い伸びになりました。
最も価格が高かったのは、41年連続で「仙台市青葉区中央1丁目」で1平方メートルあたり438万円でした。
〇住宅地
県全体の平均で去年より4%値上がりし、11年連続で上昇しました。
こちらも上昇率は全国3番目です。
最も価格が高かったのは、初めて「仙台市宮城野区小田原弓ノ町」となり、去年より9.7%値上がりした、1平方メートルあたり47万5000円でした。
JR仙台駅東口周辺でマンション建設が活発化していることなどが背景にあり、県内の住宅地の最高地点が入れ代わるのは11年ぶりです。
一方、最も上昇率が高かったのは「富谷市太子堂1丁目」の13.8%でした。
上昇率上位10地点のうち、6地点を富谷市が占め、仙台市中心部に比べた土地の割安感から子育て世帯を中心に人気が高まっています。
〇仙台都市圏以外は下落
一方、仙台市から離れた地域では、人口減少や産業の停滞などから、土地の価格の下落に歯止めがかかっていません。
商業地の「大崎市鳴子温泉字湯元」は去年より5.5%値下がりし、下落率が県内で最も大きくなりました。
県外から訪れる観光客の戻りが鈍いことが影響したとみられています。
また、東日本大震災からの復興需要が一段落した沿岸部では、多くの地点で値下がりし、仙台市周辺と比べた土地の価格の二極化がいっそう際立っています。
【不動産鑑定士「地価上昇は当面続くか」】
今回の調査にあたった不動産鑑定士の西山敦さんは「新型コロナの影響で経済活動が停滞していた反動で、仙台市周辺を中心に土地の価格が上がった。住宅は多くの人にとって一生に一度の買い物になるため、物価が上がっているからといって不動産を買い控える状況になるとは考えにくく、地価の上昇は当面、続くのではないか」と話していました。
【富谷市の住宅分譲地は】
富谷市にある住宅分譲地で区画を販売する大手住宅メーカーの担当者は「通常の2倍近いペースで売れている」と話し、好調な売れ行きに手応えを感じています。
富谷市の南部「明石台東地区」では、大手住宅メーカー7社が共同で大規模な宅地開発を進めていて、2024年までの3年間に、あわせて765区画の販売が始まる予定です。
このうちの1社「大和ハウス工業」によりますと、おととしから販売を始めたおよそ40区画では、すでに8割以上の区画で売買が成立しているということです。
大和ハウス工業仙台支社の阪田洋司さんは「売れ行きは通常の2倍近いペースだと感じる。仙台市内の地価の値上がりが続く以上、郊外の割安な土地を求める需要は続くのではないか」と話していました。