地元産大豆と温泉水で新メニュー「御殿湯豆腐」 大崎・鳴子温泉郷の有志が開発

宮城県大崎市鳴子温泉郷の観光と農業関係者らでつくる「チーム鳴子温泉郷プロジェクト」は、地元産大豆「くるみ豆」で作った豆腐を温泉水で煮込む新メニュー「鳴子御殿湯豆腐」を作った。新たな名物で観光客を呼び込み、地産地消による農業振興も目指す。
 鳴子温泉郷には多種多様な源泉があり、そのうちの一つ重曹泉で豆腐を煮る。軟らかくなって煮崩れ、くるみ豆の風味が引き立つ。今月から順次、大沼旅館など旅館5軒と飲食店3店で提供する。
 チームの浅沼政幸代表は「新メニューで観光客の胃袋をつかみたい。多くの宿にメニューに加えてもらい、地域全体の活性化につなげたい」と狙いを語る。
 くるみ豆は、県境を越えて隣接する山形県最上町に伝わる地大豆で、クルミのようなコクが特徴。鳴子・川渡地区で農産物生産の「スマイルフィールド」が無農薬で栽培している。
 同社の中鉢秀俊社長は「栽培は手間がかかるが、奥深い味で毎日食べても飽きない」とPRする。豆腐製造は、宮城県蔵王町のはらから福祉会が担う。
 新メニュー作りは、東京の人気料理店「CROSS TOKYO(クロストウキョウ)」が協力した。増山明弘総料理長は「温泉水で煮るとよく崩れ、スープにも豆腐の風味が伝わる。体の内部から温泉で温まる。スパイスを合わせるなど多様な食べ方ができる」と期待する。
 2月26日には旅館大沼でお披露目会を開催。チームメンバーの1人で同旅館の大沼伸治代表は「コロナ禍で我慢の時期だが、一歩前に進みたい。地域で共有する観光資源にしたい」と話している。
 プロジェクトは、復興庁の専門家派遣集中支援事業を活用。デザインやブランド化で、宮城復興局の復興支援専門員が協力した。

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