地図マニア、壁マニア、動物マニア……世の中には、その人にしかない「好き」が溢れている。そんな「マニア」による研究成果や商品を展示・販売している「マニアコンビニ」が、東急ハンズ心斎橋店にオープンした。
運営するのは合同会社別視点(東京都中央区)。同社は「独自の視点をもち、あるジャンルやカテゴリ、アイテムに特化した活動・発表している方々」を「マニア」と定義づけ、彼らの活動成果を発表するイベント「マニアフェスタ」を2018年より開催してきた。
同社代表の松澤茂信さんは、東京を中心に珍スポットの開拓に励み、ツアー開催や取材活動などを展開してきた。同社設立後もそうした活動や事業を続けるうちに「場所よりもそこにいる人が珍スポットなのではないか」と気づき、現在の「マニア」応援の活動に直結してきたという。
東急ハンズ心斎橋店(2020年11月20日に心斎橋パルコ内に移転オープン)内にある「マニアコンビニ」は、関西では初の出店。15組以上のマニアによる展示・商品が繰り広げられ、1〜2ヶ月の頻度で出店マニアは入れ替わる。
筆者は同店をオープン直後の12月に取材。そこには、思わず「好き」の力に勝つものはないのだなと感じさせられる、独特の世界が繰り広げられていた。
ゴムホース、電線、仏像、シャッター、街角のたぬき……日常に溢れる何気ないものを、さまざまな角度から切り取ったり写真に収めたりする。
例えば、「片手袋マニア」。道端に何気なく落ちている「片方の手袋」を、ひたすら写真に収めているマニアだ。片手袋には「放置型」と「介入型」があると分析・カテゴライズするという強者だ。
このマニアのように、何気ないものを地道に写真に収めて研究対象とする姿勢に感化されるクリエイターも多いそう。
また、幼い頃から地図描きに励み、今は地図作家として活動する今和泉隆行さんによる「空想地図」は圧巻。この世に存在しない街を描いている。中でも「中村市(なごむるし)」は今和泉さんによる代表作。今和泉さん自身が歴史や地学の知見を得るにつれて、徐々にアップデートされているそうだ。
合同会社別視点が定期的に開催しているイベント「マニアフェスタ」は、2021年3月27日・28日に初の大阪開催が決まっている。場所はルクア大阪9階LUCUAホール。2021年1月末まで出展者を募っている。
同社の齋藤洋平さんは、「初めて関西で開催するので、今まで見たことのないマニアに出会えるのが楽しみ。東京からもマニアのみなさんが出展するので、新しいコラボレーションを期待している」と話す。
「フェスタを見に来るだけでなく、ぜひ自らもマニアになってほしい。日常の中のささいなことでもいいのです。楽しいことはあたりにたくさん転がっていますよ」
■マニアコンビニ 東急ハンズ心斎橋店
大阪市中央区心斎橋筋1-8-3 心斎橋パルコ 9F(2020年11月同地に移転)