地域を助ける、という生き方

定年後は田舎でのんびり過ごしたい。脱サラをして田舎で農業を……なんて憧れる人は今も昔も多い。
しかし生活基盤をそこに築けるかどうか、が大きな壁になってくる。
もし本気で田舎暮らしに憧れている人、“地域おこし協力隊”という制度はいかがだろうか。
これは高齢化、人口減少の進む地域に地域外の人材を誘致。地方自治体が仕事を委嘱するという総務省の取り組みだ。
誘致された人は、地域をもり立てるための活動を行う。
仕事の内容はたとえば農林、農業などの応援、たとえば地域住民の支援や地域振興活動。
新しい人材の目線で地域の新しい一面を引き出し発展させていこう、というもの。
豊かな自然の中で新しい人生を見つけたい都市部の人間。新しい人材を迎え入れ、地域を発展させたい地方の人間。両方のニーズに応えられるのではないかと3年前、21年度よりスタートした。
場所によって金額は異なるものの、報償費や活動費も支払われるため、生活のバックアップを受けつつ働くことができる。
現在は平成23年度末時点で、147自治体(3府県、144市町村)が実施。
平成23年度末時点で、413名の協力者が生まれたそうだ。
ただし、誰でもすぐになれる、というわけではない。
取り組む自治体によって採用方法は異なるが、一般的には公募による募集と書類審査や面接の上審議される。
さらに都市地域からの住民票の異動が必須。また、任期は1年以上3年までと期間も限定。
任期があるので終わるとどうなってしまうの? と、そこが不安なところ。
しかしこのプロジェクトは“新住民に地域に定住してもらう”ことも大きな目的だ。
協力隊という形で入り、そこで基盤を築きそのまま移住してしまう……平成23年度末の調査で、卒業予定の隊員のうち約7割がその地域で定住したことが分かった。
憧れの田舎暮らし。といっても、夢のような生活だけとは限らないだろう。
慣れない地域で慣れない活動をすれば、想像もしなかった苦労もある。なにより生活も一変する。
しかし、これまで体験したことのない生活を楽しめる、想像もしなかった楽しさがあるかもしれない。
隊員を経験した人は「新しい場所で新しい体験を楽しめる。地域を助けるつもりが自分が助けられていることも」と好評のよう。
地域をもり立てることのできる企画を胸に秘めている人、パワーの余っている人は挑戦してみては。
(のなかなおみ)

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