地域支援型農業広がる兆し 農漁村と都市つなぐ

 東日本大震災は食の重要性、人のつながりの大切さを再確認させた。国内ではなじみの薄い地域支援型農業(CSA)方式の普及を目指して2013年7月に創刊された月刊情報誌「東北食べる通信」の高橋博之編集長は、CSAの意義を「震災に遭った東北から都市と農漁村の新しい関係を創り出す取り組み」と強調する。
 同誌は東北の農家や漁業者にスポットを当てたタブロイド判の冊子と、生産者が手塩に掛けた自慢の一品をセットにしている。読者は首都圏のほか仙台市など各地に広がり、発行部数は1000を超える。
 誌面には消費者と顔の見える関係づくりや、作物作りに意欲のある生産者が登場する。ササニシキの親品種ササシグレを無農薬で栽培する遠野市の農家や、磯の風味の強い1番摘みのノリを作る東松島市の生産者らを紹介してきた。
 創刊直後から購読する東京都中央区の会社員渡辺俊さん(27)は「食材と雑誌が一体になったスタイルは面白い。贈答品として親類に配ることもある」と言う。
 ただ、読者からCSA会員に発展したのは約1割にとどまる。高橋編集長は「食べる通信は生産者と消費者のお見合いの場。いかに双方の関係を発展させられるかが課題だ」と語る。
 購読料は月額1980円。CSA会員の年会費は生産者ごとに異なる。どちらも同通信ホームページから申し込める。

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