地域貢献策に課題 仙台港背後地に大型商業施設

 仙台港背後地(みなと仙台ゆめタウン)に進出が決まった三井不動産(東京)のアウトレットモールは、年間来場者450万人、年商160億―180億円を目指す大型商業施設だ。

 三井不動産は横浜市や神戸市など6カ所にモールを持ち、アウトレットモールの事業規模は国内有数。豊富な実績を背景に、提案競争を制した。

 提案に参加したのは双日商業開発、イオンモール、大和ハウス工業。宮城県と県企業局、仙台市は地権者として全体計画や経営管理、地域貢献などを点数化。土地貸借料を加味し、順位を付けた。

 三井の得点は3者ともトップ。センター地区東側の仙台港国際ビジネスサポートセンター「アクセル」や、みやぎ産業交流センター「夢メッセみやぎ」との間に、高架歩道を独自に整備するなど連携策が評価された。

 三井によると、公有地でのアウトレットモール展開は横浜市などで例がある。ただ、地域貢献の評価が一部で低く課題も残った。県は福祉施設や防災拠点、公共空間の整備などについての調整を三井側と進める。

 県は、区画整理事業の借金返済に充てる保留地の処分(売却)促進に弾みがつくことを期待する。06年11月末現在の保留地(26.2ヘクタール、未発売分含む)処分率は18.5%。発売済み分に限っても50%に届かない。

 県都市計画課は「センター地区への進出決定で、企業の動きも活発になるのでは」と指摘した。

◎知事「中心商店街に配慮」

 仙台港背後地センター地区(仙台市宮城野区)に、三井不動産(東京)のアウトレットモールなどの進出が28日決まった。開業は2009年で、売り上げ目標は百貨店並み。村井嘉浩知事は記者会見で「中心商店街と郊外型店舗の共存共栄が理想」と、既存商店街への配慮を強調した。

 商店街との競合回避について村井知事は「客層が違う。流行を求める人は中心街、流行が過ぎても安いブランド品が欲しい人はモールに行く」と述べた。

 県と仙台市は公募条件として大型総合スーパーや百貨店を排除し、中心商店街に配慮。一方、公有地16.3ヘクタールの一括利用が前提だったため選択肢が狭まり、応募4件のうち3件がアウトレットモールだった。

 市中心部商店街の男性店主(62)は「行政主導で郊外へ大規模商業施設を誘導した。官による民業圧迫につながり、商店街に配慮したとは思えない」と批判した。

 市内ではアウトレットモール運営のチェルシージャパン(東京)が、08年に泉区に出店する計画。三井の進出で、大手同士の対決が濃厚だ。
 三井不動産の永田和一専務は「十分なマーケティングをしている」と自信満々。チェルシージャパンも「戦略に影響することはない」と受けて立つ構えだ。
2007年03月28日水曜日

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