「測量学の世界的権威」で東大名誉教授の村井俊治氏は、全国で約1300あるGPSの電子基準点のデータを追跡して地殻の微少な変動を計測し、地震の「前兆現象」をとらえている。村井氏は驚くべきことに、5月5日以降、計4回発生した震度5以上の地震をすべて的中させていた。
村井氏は報告が上がった最新6週間(7月6日~8月16日)の電子基準点の異常変動に注目する。
首都圏・東海ゾーンで異常変動が集中しているのが静岡県、神奈川県である。特に静岡県東部の伊豆半島から、伊豆諸島の大島、三宅島南島に異常変動点が連なっていることに村井氏は注目する。小笠原諸島の父島・母島でも4センチ以上の変動が記録されている。
「父島・母島まで異常変動の範囲が延びてきたことで、大地震の可能性はより高まっている。この南北に分布する複数の電子基準点の中央部に位置する伊豆大島近海には特に警戒が必要です。
ここでひとたび地震が起これば、首都圏への影響は非常に大きい。都心部は地盤が緩いため、震源が遠くても震度が大きくなるためです。実際、伊豆大島近海が震源だった5月5日の地震では、大島が震度2だったにもかかわらず、千代田区では震度5弱を記録した。多くの人は都心部の地下を震源とする『首都直下型』を心配しますが、伊豆諸島で大規模な地震が起これば、同じように危険なのです」(村井氏)
首都圏・東海ゾーンにはもうひとつ懸念がある。神奈川県内の厚木、湯河原、大井といった基準点で大きな変動が見られることだ。
「近年の研究では、関東大震災の最初の震源が大井近くだったとされている。首都圏全域に大きな影響を及ぼす大地震の兆候である可能性は否定できない」(村井氏)
■村井氏が顧問を務めるJESEA(地震科学探査機構)では毎週水曜日にメルマガ『週刊MEGA地震予測』を月額216円で発行している。詳しくはhttp://www.jesea.co.jp/