4月に改編期を迎えるテレビ業界。『とんねるずのみなさんのおかげでした』や『めちゃ×2イケてるッ!』(ともにフジテレビ系)などフジテレビの黄金期を支えたバラエティー番組たちが終了していくなか、その枠の後釜となる新番組に起用されたのは、あの“毒舌男”だった。
『父親にしたくない俳優』1&2位
「『みなおか』の後番組として新たに始まるのは、坂上忍さんがMCを務める番組。また、TBSでも『坂上&指原のつぶれそうなのにつぶれない店』が始まります。HKT48の指原莉乃さんとタッグを組み“客がいないのになぜかつぶれない店”の謎に迫る番組です」(テレビ誌ライター)
また、3月に終了する『良かれと思って!』(フジテレビ系)の後には、梅沢富美男が初の冠番組を持つことが決定している。
「番組はこれまで2回特番で放送され、視聴率が好調だった『梅沢富美男のズバッと聞きます!』をレギュラー化したものだといいます。特番のときには不倫騒動のあった小倉優子さんに“なんで結婚したの?”“離婚して後悔してない?”など、タブーなしでズバズバ質問して、話題になりました」(同・テレビ誌ライター)
今でこそバラエティー番組に引っ張りだこの2人。お笑い芸人たちの活躍の場であった世界で、ともに“毒舌”を武器に快進撃を続けてきた。芸能ジャーナリストの佐々木博之氏は言う。
「2人に共通するのは大手事務所に所属していないということ。発言に忖度がなく、失うものがない。そんな彼らの“権力者に引かない”姿勢が、筋が通っていて見ていて気持ちがいいのでしょうね」
昨年、AbemaTVの番組内で発表された『父親にしたくない俳優』ランキングでは見事、坂上、梅沢が1位と2位にランクイン。不名誉なランキングかもしれないが、そのキャラクターの強さの裏返しだろう。
お笑い評論家のラリー遠田氏は「2人の“毒舌”は、本音であるからこそのもの」であると指摘する。
“自覚している悪者”
「2人とも本当のことを、“本音で言っている”というところが評価されているんだと思います。作りものだとわかっているバラエティー番組ですが、今の時代は本当のことを言っている部分がないとウソくさく感じられてしまうのかもしれませんね。作りものの部分が見えると、冷めてしまうのだと思います」
お笑い芸人からも、“ポジション争いをするのが怖い”と恐れられている2人だが、バラエティーが本職でないことも活躍の原動力になっている。
「芸人さんやバラエティーを本職にしているタレントさんほど、場を盛り上げなきゃいけないという制約があるため、本音を言えない部分も多いんです。どうしても番組の流れの中で計算しながらしゃべらなくてはいけないですからね。
その点、坂上さんと梅沢さんのおふたりは役者や舞台が本業なので、そのような計算がない。ベッキーさんの“ゲス不倫”騒動以来、加速している不倫報道。それは彼女がいい人のキャラクターだったにもかかわらず、不倫をしていたというインパクトが強かったわけです。
世間も“偽善”というものにすごく敏感になってきていると思うんですね。だから、偽善者より“自分が悪いと自覚している悪者”のほうが好感を持たれる風潮ができたんだと思うんです」(ラリー氏)
梅沢と仕事をしたことがあるというコラムニストのペリー荻野氏は、梅沢の素顔にも人気の秘密があると分析する。
「梅沢さんに何度もインタビューをさせていただきましたが、テレビで映る乱暴なイメージとは違い、とても気配りをしてくださる方でした。芝居という本業があるからこそ、テレビで“俺を嫌う人がいたら嫌ってもいい”と発言できるのだと思います。みんな嫌いにならないんですけどね(笑)」
テレビで暴言を吐く姿も、キャラクターを完璧に“演じ切っている”ということだろうか。そんな梅沢のファン層についてラリー氏は、
「梅沢さんの毒舌は“頑固オヤジの本音”。セクハラ、パワハラまじりではありますが、“みんな実はこう思ってるんだろ?”といった本音を代弁してくれるところが、高齢の方からの共感度の高さにつながっています。
実際、起用する側からみて、高齢者の意見を代表するタレントが欲しいときに、梅沢さんはちょうど勝手がいいタレントさんなんですよね。しかも、ふざけたようなバラエティー番組にもちゃんと出てくれてこなしてくれるところも重宝されます」
無難はつまらない
高齢層で人気があるにもかかわらず、10代の若い女性からも支持されているのが彼のすごいところ。
「自分の劇団をお持ちで、若い人たちを愛を持って育てていらっしゃるので、どこまで突っ込んでいいのかよくわかっているんだと思います。叱ってくれる人が世の中にあまりいないなかで、時代的にも求められているんだと思います。
若い子にとって梅沢さんは“生活指導の先生”のような存在なのではないでしょうか。“言葉は悪いけど、先生だからしかたがないか”といった感じで若者からも認められる。何十年も劇団が続いているということは、それだけ人を育てているということですよね」(ペリー氏)
一方の坂上は、’14年から司会を務める昼の情報番組『バイキング』(フジテレビ系)によって、主婦層から支持されていることが特徴だろう。
「坂上さんのような“誰に何と言われようと、俺は自分の意見を言う”といったキャラは、このご時世においてあまりいないので貴重ですよね。ワイドショーを見る人って、毎日同じ時間にその番組を見ることがルーティンになっている人が多いと思うので、無難なことばかり言っているコメンテーターじゃつまらないのかもしれません」(ペリー氏)
情報番組では、自分たちと同じ世界で活躍する芸能人たちのスキャンダルについてもコメントをしなければならない。視聴者でさえも“こんなこと、本当に言っちゃっていいの!?”と思うような発言も多い坂上だが、不思議と共感してしまうのも彼の魅力だという。ラリー氏がその秘密を解説する。
「子役のころから役者として出ていらっしゃったという経歴と、身近な人物だというのも親しまれている。その2つの理由だと思います」
坂上の支持者は主婦層のみにとどまらない。『バイキング』のスタッフも、彼の男気あふれる“太っ腹”な一面に心酔しているようだ。
「年始の放送後に、現金を抽選で当たったスタッフにお年玉としてあげるんです。1等に20万円、2等は10万円が2本といった出血大サービス。さらにそれを各曜日ごとに行っているので、計200万円を惜しげもなく出してくれるんですから、カッコいいですよね」(フジテレビ関係者)
バラエティー番組の視聴率低下が叫ばれるテレビ業界を救うのは、2人のオジさんたちなのかも!