基準地価 仙台圏は住宅需要が旺盛 名取と富谷は上げ幅仙台超え

宮城県が19日に公表した基準地価(7月1日時点)は全用途平均で2・3%上昇し11年連続でプラスとなった。上昇率を都道府県別に見ると住宅地が8位、商業地が6位。仙台圏の旺盛な住宅需要と、仙台市中心部で続く活発な開発の動きがけん引した。一方、人口減少が加速する仙台圏以外の下落傾向は続いている。

住宅地は割安感ある地域に需要広がる

 前年度から継続調査している261地点のうち112地点で上昇した。平均上昇率は1・7%で前年度より0・4ポイント上がった。下落は124地点、横ばいは25地点だった。

 市町村別の上昇率は仙台市が7・1%。1991年(6・7%)と同水準の高い伸び率で、全60地点が上昇した。周辺9市町村の平均上昇率も5・6%と12年連続で上がった。特に、名取市(7・5%)、富谷市(7・4%)は仙台市を超える上げ幅となった。

 上昇率の上位5地点のうち3地点は仙台市外。富谷市、大和町、名取市から各1地点が入った。調査を担当した西山敦さん(不動産鑑定士)は「低金利を背景に子育て世代の持ち家志向は強い。仙台市に比べて割安感のある地域に需要が広がっている」と分析する。

 仙台圏以外の25市町は平均下落率が1・2%で、9年連続のマイナス。大河原町など5市町で上昇したが、19市町で下落した。柴田町は横ばい。下落率1位は蔵王町遠刈田温泉鬼石原(6・2%)。インバウンド(訪日客)を取り込めない温泉地の周辺別荘地で低迷が顕著だった。

 東日本大震災の被災市町は移転需要が収束し、地価の下落が進む。下落率は気仙沼市3・2%、南三陸町2・2%など。

商業地はヨドバシ効果で建設相次ぐ

 継続調査した96地点のうち60地点で上昇した。平均上昇率は前年度比1・2ポイント増の3・9%。仙台市が7・8%、同市周辺9市町村が4・4%で、いずれも11年連続プラスとなった。その他の25市町は平均0・8%の下落。

 上昇率1~3位はJR仙台駅東口に近い仙台市宮城野区の榴岡地区に集中した。ヨドバシ仙台第1ビルの開業効果で、オフィスビルやマンションの建設が相次ぐ。大規模開発計画が進む青葉区の東北大農学部雨宮キャンパス跡地周辺も不動産取引が活発だ。

 市町村別では加美町(3・2%)の下落率が最も高かった。買い物客の町外への流出で既存商店の閉店もあり、地価に影響した。

 震災の被災地は原油高や漁獲量の低迷で、基盤産業の水産加工業が振るわない。下落率は気仙沼市(2・7%)、南三陸町(1・0)などだった。

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