基準地価 宮城の下落率、大幅縮小 高台で上昇顕著

 国土交通省は19日、7月1日現在の都道府県地価(基準地価)の調査結果を発表した。東北6県の平均地価は住宅地が3.6%、商業地は4.9%下落した。住宅地は14年連続、商業地は21年連続のマイナスだが、宮城県は東日本大震災からの復興需要の高まりで下げ幅が大幅に縮小。全国の住宅地のうち、高台への住宅移転が進みつつある岩手、宮城の両県が上昇率1~10位を占めた。
 県別の平均地価と変動率は表の通り。宮城は住宅地が東京と並び全国で2番目、商業地が7番目に小さい下落率を記録した。岩手、山形、福島は全国平均(住宅地2.5%、商業地3.1%)の下落率を超えたが、いずれも前年比でマイナス幅が縮小。青森の住宅地と商業地、秋田の住宅地は下落率が前年と同じだった。
 宮城は、5.0%の石巻市など11市町で住宅地が10.3~0.3%上がった。商業地は、JR石巻駅前で市役所がある石巻市穀町で11.8%上昇し、全国トップ。岩手の住宅地も釜石市など6市町村でプラスとなり、高台で住民の移転先候補となっている陸前高田市米崎町は、住宅地で全国一の上げ幅(14.6%)となった。
 一方、福島は住宅地の上昇が郡山市の1地点、横ばいは2地点のみ。商業地はなかった。猪苗代町の別荘地は住宅地として下落率が県内で最も大きい8.3%、北塩原村の裏磐梯は商業地で県内最高のマイナス9.2%になるなど、福島第1原発事故による風評被害の影響が尾を引いている。
 仙台市は住宅地が0.8%上昇(前年は2.2%下落)で、横ばいの泉区を除く4区で上がった。商業地も下落率が5.3%から0.6%に改善。住宅移転や復興関係者による事務所需要などが価格を押し上げている。
 ほかの東北の県庁所在地は、福島市の住宅地が3.9%、商業地が4.8%下落し、前年より3.1ポイント、3.6ポイント改善した。青森、盛岡、秋田、山形市は下げ幅が若干縮小した。
 [基準地価] 国土利用計画法に基づき、都道府県が毎年7月1日時点で調べる基準地の価格。国土交通省がまとめて発表する。今回の対象は2万2264地点。うち福島県の31地点は福島第1原発事故の影響で調査できなかった。不動産鑑定士らが周辺の取引事例などから1平方メートル当たりの価格を算定しており、一般の土地取引や固定資産税評価の目安となる。国交省が毎年1月1日時点で調査する「公示地価」とは補完関係にある。

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